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HD DVDとBD、同時に発売することはできない――Paramount次世代DVDへの挑戦(3/3 ページ)

» 2006年02月15日 12時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「同じタイトルを出すとは話しているが、同じタイミングではない。どちらが先になり、どの程度遅れてもう一方で出せるかなどは、制作リソースの問題もあり、現時点でコミットしていない。現実問題として、両方を同時に発売することはできないと考えている」(カルロス氏)

両フォーマット向けには同じクオリティで提供

 では両フォーマット向けのソフトの内容は、ほぼ同じものになると見ていいのだろうか? 以下はカルロス氏とのやりとりである。

 「まずインタラクティブ機能が異なる。このため、両規格のディスクは異なるオーサリングになる。ただし画質や音質は同じと考えていい。全く同じマスターから制作を行うことになる」

 ではコーデックはどれを使うのだろう?

 「近い将来はアドバンストコーデックになっていくだろうが、最初のうちはMPEG-2を用いる。少なくともBDに関してはMPEG-2で行くことになるだろう。ただし、オーサリングハウスの設備次第という面はある。たとえばHD DVDに関しては、異なるフォーマットになるかもしれないし、BDに関してもタイトルごとに異なるかもしれない(筆者注釈:Paramountは一部のオーサリングを松下系のPDMCに発注しており、場合によってはH.264をBDタイトルに使う可能性がある)。もっとも、パッケージ制作の技術的詳細に関しては、われわれは把握していない(ので、細かな画質の違いに関してはコメントできない)」

次世代光ディスクの普及立ち上がりはハードウェアによって決まる

 インタビューの途中、両氏から何度も出てきたのが、「われわれの経営哲学は“コンシューマー指向”」という言葉。どこかのタイミングで片方のサポートをやめるのか? という質問に対しても、消費者のニーズがある限り、両フォーマットを同じ条件でサポートしていくと明言する。

 しかし実際にビジネスが始まれば、どちらかが一方的に押し切るという状況が早い段階で訪れるかもしれない。その情勢を決めるのも、ソフトを供給する側次第ではないかと訊いてみると、「皆さんはわれわれスタジオの支持で情勢が大きく変わるというが、ソフトウェアはハードウェアがなければ再生できない。品質の高い魅力あるソフトだけが並んでいても、それを再生できないならば意味がないんですよ。特に初年度に関しては、ハードウェアの市場動向が、フォーマットの優勢・劣勢を決めていくと思います」(カルロス氏)と、控えめに答えた。

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