東芝が8年ぶりにテレビのブランドを変更した。全モデルに「メタブレイン・プロ」を採用した「REGZA」は、“画質”を全面に押し出し、テレビの原点回帰をうたった新ブランドだ。そしてシリーズを越えて共通化されたデザインにも同じ思想が流れている。“face”に代わる東芝の“顔”は、どのように生まれたのか。東芝デザインセンター映像機器デザイン担当参事の坪井英樹氏に話を聞いた。
“REGZA”のデザインにあたり、坪井氏が最初に検討したのは、先に登場していた「Z1000」シリーズのデザインを継承し、イメージを共通化することだった。「顔を揃えていこう、と考えていました。Z1000の“スリットスピーカー”こそ搭載できませんが、同じ“ミニマルデザイン”を基本にしています」。
ミニマルデザインとは、最小限の要素で構成したシンプルなフォルムのことだ。「テレビは、40型を超えると強い存在感を出すものですが、リビングルームコンディション――つまり生活の場に置いたとき、どのように見えるかが問題です。また、純粋に映像と音を表現するには、テレビが存在を主張してはいけない。ですから、デザインはシンプル。不必要なものは削ぎ落とし、本当に必要な要素だけを残しました」。
REGZAでは、アンダースピーカーを採用して全体の横幅を抑え、スリットスピーカーのない「H1000」および「C1000」は前面をほぼフラットにした。操作ボタンは前面下部に移動。動作状況を示すLEDも必要最小限のものだけを残した。そして、ゲーム機などを接続するのに便利な前面端子は「側面端子」に代わっている。
配色についても考え方は同じだ。たとえば「H1000」シリーズでは、光を吸収するマットな黒をベースにして電源オフ時の液晶画面と一体化。外枠と台座部分だけに細くシルバーを配した。
「デザイナーの気持ちとしては、外枠のシルバーの部分だけがREGZAの筐体で、前面の黒い部分はすべて画面なんです。液晶パネルに黒いフチがないもの同じ理由。一般的な液晶テレビでは画面内に黒いフチがありますが、REGZAの場合は筐体の黒い部分がフチを兼ねているわけです」(坪井氏)
スタンダードモデルの「C1000」シリーズでは、H1000より少しだけ明るいグレーを使用している。これは、デザインが共通で画面サイズもH1000シリーズと重なるモデルがあり、販売店やユーザーが混乱するのを防ぐためだ。
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