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れこめんどDVD「セブンソード 特別版」DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2006年02月24日 17時20分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

2週間で打ち切り! もしや失敗作なのか!?

「セブンソード 特別版」

発売日:2006年2月3日
価格:3980円
発売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
上映時間:153分(本編)
製作年度:2005年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ
音声(1):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/中国語
音声(2):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語

 劇場公開時、「HERO/英雄」や「LOVERS」に続く武侠映画と宣伝されたものの、チャン・ツィイーのような華がなく、わずか2週間で打ち切り。大ヒット中の「チャーリーとチョコレート工場」に劇場を奪われてしまうという興行結果になってしまった本作。

 そんな話を聞くと、この映画の出来を疑う人もいるかもしれない。実際、最近のツイ・ハーク監督の仕事は「ドリフト」「天上の剣」「ブラックマスク2」と全く冴えがなく、往年の勢いは消えてしまったかに見えていた。しかし、この「セブンソード」では全盛期の演出を思わせる切れの良さが復活! 巨悪に立ち向かう七剣士という単純明快なストーリーと、俳優たちの必死なアクションが映画を魅力的なものにしていた。

 ストーリーは、1660年代の中国が舞台。新たに立ち上がった清王朝は武術の研究と実践を禁じる禁武令を発布し、反乱分子を鎮圧しようとしていた。しかし、かつて軍人だった風火連城はこの禁武令を利用し、大群を放ち女性や子供、老人までも殺りくの対象として、荒稼ぎをしていた。風火連城は次の狙いを武荘という村に絞っていたが、そのことを知った老人、フー・チンジュは決死の覚悟で武荘の人々に計画を知らせにいく。実はフー・チンジュはかつて政府の処刑人として武荘の人々を拷問した過去があったのだが、彼は過去の行いを悔いており、風火連城による殺りくを止めようとしていた。しかし、村人はフーへの恨みから処刑を行うことを決める。残忍な行いに反対する若い女と男、ウー・イエンインとハン・ジィパンはフーを逃がそうとするが、フーの指示で神秘の山“天山”にいる剣の達人に助けを求めることにする。そこには大師の下、4人の剣士が俗世から離れた生活を送っていた。大師は訪れた3人と4人の剣士に特別な刀を与え、武荘を救うため、山を下ろすのだった。

剣士たちの活躍は「ロード・オブ・ザ・リング」以上

 大まかな内容を聞くと黒澤明監督の「七人の侍」や、そのリメイク作品「荒野の七人」を思い起こさずにはいられない。しかし、7人の内、2人は元々村人で剣の達人でもない。実質的な達人はわずか5人。

 そんな人数で強大な敵とどう戦うのかが気になる。前半の山場である村での戦いは危機一発の所で剣士たちが到着。有無を言わせぬ圧倒的な強さで風火連城の軍隊を粉砕してしまう。

 戦いが始まる前、強がる隊長に坊主頭の剣士、シンが「身の程知らずめ!」と言うが、正に言葉どおりといった印象で、これだけ強いなら何百人相手でも倒せるはずと思わせる。しかも一通り倒した後、「敵に考える間を与えるな」とばかりに馬を駆り、風火連城の本陣に向かい、手を引くよう交渉する。

 交渉に応じないとなるや、またも剣士たちが大活躍。火を放ち、酒や馬を使い物にできなくして、動きを止めることに成功する。ここではドニー・イエン演じるチュウが敵の女将軍と大立ち回りを見せ、そのアクションには思わず目を奪われてしまう。演出もドニー・イエンの顔を頭巾で隠して、この男は剣士の中でも格別に強いはず! と実感させようと工夫している。

 しかし、剣士たちの活躍があまりにも凄すぎて、リアリティに欠けるのも事実だ。天山から下山して、そのまま戦い、その後夜が明けるまで馬を駆り、また戦うのだから尋常ではない。「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンでも息を切るはずだ。

 また村人出身の2人はいきなりそんなに強くなるはずがないだろ? と誰もが突っ込みを入れたくなる身の変わり様だ。そんな現実感のない設定でもこの映画には勢いがあるので、見ている間はまず気になることはない。

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