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「みんな」と違う!? ケータイ・デジタルプレーヤーを持つプロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと」!(1/3 ページ)

» 2006年02月24日 18時39分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 余り年齢に関係無くよく耳にする例えに、「みんな〜している」とか、「みんなが持っている〜」とか言う言い回しを聞くことは多い。幼稚園児が母親に「園内の自分の周囲で流行している何か」をおねだりする場合も、企業のトップマネジメントが他社が既に実施しているビジネスを見聞きし、自社のスタッフである社員達に向かって、「より新しいビジネスモデルの考案」や「画期的な営業方策のアイデア」等を要求する時も、多少のスケールや望む深さのレベルが異なるだけで、その起点は同じ様なものだ。

 本来、他人と大きく違うことを恐れる人間は、データ的にはそれほど確実ではない身の回りの小さな範囲の変化やトレンドを、あたかも、世の中全体のトレンドや流行の様に捉えてしまう傾向があるのだろう。これは、人間が見ず知らずの他人より、家族や友人、職場の人間、少しでもより気心の知れた人間の意見をより深く聞き、理解しようとする習性があり、いつの間にかそれらを拡大理解するからだろう。そこで「みんな」という表現に接するには、多少の注意が必要だ。マーケット分析はこの様に曖昧な「みんな」という表現をロジカルに分析することから始まることも多い。

 そうは言っても、「みんな」という表現が頭に付いても相応しい商品が、デジタル社会絶頂期の日本国内にはたくさん溢れている。過去何年も毎年1000万台の出荷数量を継続している「パソコン」や、既に9000万人近いユーザのいる「ケータイ電話」などは疑いを持つ必要も無い「みんなが持ってるみんなの道具」になっている。これら2つを少し後から追いかけている商品の代表格は、昨今急激に賑やかになってきている「デジタル音楽プレーヤー」と「デジタルカメラ」の2つだろう。

 1979年に産声を上げた携帯ミュージックプレーヤーの子孫は、既に4半世紀の時を越えて、モバイルミュージックというカテゴリーを確立し、そのクライアントとしての地位を不動のものにした。同時にそれは専業のオーディオメーカーの特権商品としてでは無く、後発の携帯電話を巻き込み、差別化機能としてよりメジャーな存在に躍り出た。シリコンチップの力で、各種の計算から画像表示、音楽再生、記録・読み出しを行うデジタルなプロセッサーユニットにとって、PCも携帯電話も、デジタル音楽プレーヤーも、デジタルカメラもほとんど同じ親戚の様なモノだ。何時の頃か音楽再生機能はほとんどのデジタル機器のベーシック・ファンクションに表記される対象となった。

「みんな」iPod

 そんな中、長らくPC事業の不振が続いた米国Apple社から突然登場した「iPod」は、当初はけつまずきがちだったが、辛抱強い伝統的なアップルユーザーや、使い易いユーザーアプリケーション、比較的ゆるやかな音楽著作権のコントロールの相乗効果で瞬く間にデジタルミュージック・プレーヤーのベスト・オブ・ブリードの地位を確立した。発売以来、既に第5世代に突入した昨今では、右を見ても左を見ても巷にはiPodが溢れている。かく言う筆者も、本体の色違いは別にして、発売されたiPodは全機種を持っていたという記憶がある。既に我が家でも、筆者のVideo iPod、ワイフのnano、そして長らくアナログ派だった娘も近々購入を考えているらしい。

 既に家庭内は「みんな」揃ってiPod。学校でも「みんな」iPod、職場の「みんな」もiPod、友人同士でiPod、恋人同士でiPodと、ここまで来ると、中には「みんな」と違う何かほかのモノを持ち歩きたいと思う少しへそ曲がりが出てきても不思議は無いだろう。どうも平成の日本人は、「現代の慰めワードの代表」である「オンリーワン」というワードが大好きで、オンリーワンを目指す人間ほど、逆に多くの面で「みんな」と一緒であることが好きらしい。現代の日本で「みんなのiPod」を抜いている商品は、もはや「あたいのルイ・ヴィトン」だけなのかもしれない。

 へそ曲がりと同時に、ことガジェットに関しては、人柱になることを一切いとわない筆者の次世代ケータイ・デジタルミュージック・プレーヤーの選択は、任天堂の「ゲームボーイMicro」(ミクロ)と専用のMP3音楽再生カートリッジである「PLAY-YAN micro」のコンビネーションだ。

photo 実際のコントローラと比べるとかなり小さな「ゲームボーイMicro」(下)。「ゲームボーイMicro」の左上の意味のない「I」のマークがグッドだ。上に写っているのは、本物のコントローラーを転用したデジタル・タイマー
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