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携帯動画プレーヤーは第2のウォークマンかコラム(1/3 ページ)

» 2006年03月01日 00時23分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 2月14日、NECが30GバイトのHDDを搭載した携帯動画プレーヤー「VoToL」を発表した。販売開始は少し先だが(3月下旬予定)、携帯動画プレーヤーの購入を検討しているユーザーにとっては、またひとつ選択肢が増えたことになる。

photo NECのVoToL。(レビュー)

 ITmediaの読者ならよくご存じかと思うが、携帯動画プレーヤーという製品ジャンルそのものは決して目新しいものではない(ソニーからも3年前にVAIO用周辺機器という位置づけだが、20GバイトのHDDと3.5インチの液晶を搭載した「PCVA-HVP20」が登場している)。しかし、ここまでの注目を浴び始めたのは最近のこと。PSPや第5世代iPodに代表される魅力的なハードウェアが登場し、変換ソフトなどのアプリケーション環境も整備されてきたからだ。

 製品も多く登場したことから「オーディオプレーヤーの次は動画プレーヤーだ」と言われ始めてはいるものの、まだ広く一般に定着しているとは言い難く、一部のユーザーが楽しんでいるにすぎない。ITmedia +Dで行ったアンケートでも、多くのユーザーが様子見との判断を下している。

 携帯オーディオプレーヤーは、「ウォークマン」によってひとつの文化となるまでに昇華されたが(英語表記のWalkmanは造語だが、英英辞典にも掲載されている)、携帯動画プレーヤーは「第2のウォークマン」になれる可能性を持っているのだろうか。問題点を整理しながら考えてみよう。

“枯れた”携帯動画プレーヤーの進歩と普及

 いきなり“携帯動画プレーヤー”と切り出してしまったが、字面の通り解釈するならば「持ち歩ける動画再生機」全般を指すことになる。一般的には動画ファイルを再生するポータブルデバイスと捉えるところだが、ポータブルDVDプレーヤーも、ムービーを撮影/ダウンロードした携帯電話も大枠ではそのカテゴリに含めることができるだろう。

 携帯電話についてはMobile編集部に任せるとして、出張や机上、旅行時での利用を主目的としたポータブルDVDプレーヤーは一見地味ながら着実な進化を遂げており、かなりの数量が市場に流通している。先日も日本ポラロイドが家電市場歳入の第1弾製品としてポータブルDVDプレーヤーを発売したほか、東芝や松下電器産業も新製品を2月に新製品を発表している。

photo 2006年2月に販売開始された日本ポラロイドの「PDJ-0722」(左)と、3月上旬に販売開始される東芝の“ポータロウ”「SD-P1700」

 なぜポータブルDVDプレーヤーが着実な伸びを見せているのだろうか。長時間駆動や液晶画面の大型化といったハードウェア的な進歩や、DVDビデオソフトの低価格化、家庭へのDVDレコーダー普及など複数の要因が考えられるが、最も大きな要因はDVDをセットすれば映像が再生できるという“わかりやすさ”だと筆者は推測する。

 機器にメディアをセットして再生ボタンを押すという手順は、およそAV機器といわれる製品すべてに共通する手段で、ほぼすべてのひとが迷いなく操作できる。

 DVDを見るという操作にユーザーの心理的な抵抗がないならば、あとはニーズにあわせた細部の改良を進めていけばいいだけだ。それは小型軽量化かもしれないし、バッテリー駆動の長時間化かもしれない。ワンセグ対応などの高付加価値かもアプローチとしては有効だろう。

photo ワンセグ放送も受信可能な松下電器産業製の「DVD−LX97」
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