――2004年2月に発売された「LITTLE JAMMER meets KENWOOD」からケンウッドが音作りに協力していますが、協業することになったきっかけを教えてください。
「2003年に初代のLITTLE JAMMERを発売して以来、“大人の男性”を中心にご好評いただき、われわれも大人向けでいけるのではないか? という手応えを感じていました。ただ、音質は“今ひとつ”という判断でした。本格的に音に力を入れたのは2代目からですが、そのときに専門家の意見を聞くのが良いだろうと考え、複数のオーディオメーカーに打診しました。ケンウッドさんの場合は、ステレオコンポを手がける事業部にLITTLE JAMMERを持っていったのですが、気に入ってもらえたうえ、最初に音質マイスターに話を聞いてもらえた点も大きいです」
「ただ、2代目(LITTLE JAMMER meets KENWOOD)のときは、2万円というコスト的な制限がありましたし、既に出来上がった製品を持ち込んだのでチューニングをくわえる余地がアンプしかなかったのです。その中で、音質マイスターはどこまでいい音にできるかと腐心してくれました。出来上がった製品の音は、パッと聞いて分かるくらいの進歩がありました」
――新製品の「LITTLE JAMMER PRO.」では、音質マイスターの手がける範囲がかなり広がったと聞いています。実際にはどのような形で参加しているのですか?
「カタログなどにも萩原さんのコメントを掲載していますが、たとえば各プレーヤーのスピーカーは、それぞれの楽器が演奏する周波数帯域に合わせて最適になるように個別にチューニングを施しました。キャビネットには強度を確保し、不要な振動を排除する補強を入れるなど、ピュアオーディオのスピーカーと同レベルのアプローチで構造から再検討しています。
そのため、スピーカーのハウジングなどは開発中に金型を作り直すといったこともありました。もちろん作業は大変ですが、出来上がった音を聞いてしまうと比較にならないくらい違うのですから、われわれとしても、対応しないわけにはいかないでしょう? ケンウッドさんの志の高さ、目標設定の仕方がスゴイのはもちろんですが、それを実際に具現化してしまう技術力というのは、一緒に仕事をしてかなり感じましたね。
出来上がった製品をプレゼンテーションする場でも、試聴室の壁の材質まで、音の反射を考えて選択するなど、本当に細部までこだわって音作りをしてもらえました。実際に音を聞いてもらえれば分かると思いますが、トイ(玩具)のクオリティは確実に脱却できたと考えています」
「一方、音は生音を目指しつつ、デジタルの良い部分は残しています。音色を変えることができるのも“デジタルならでは”の部分ですから、新製品ではサックスだけでも複数の音色を出せるようにして、曲によって使い分けています。たとえば、『聖者の行進』では、サックスのプレーヤーからクラリネットの音が出ています」
――(聖者の行進を聴きながら)確かにクラリネットの音が聞こえますね。
「音色を変えるということは、ジャズ本来の考え方からすれば邪道なのかもしれません。しかし、逆にいえば幅広いジャンルの曲をカバーできるようになったということです。ジャズにこだわる人のためにスタンダードジャズのソフトを用意しますが、一方でバラードや映画音楽なども積極的に展開できるようになったと思います」
――ソフトはROMカートリッジで提供されていますが、従来の製品と互換性はないのですか。
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