――各社が配信映像のHD化に取り組んでいる印象がありますが、映像配信においてHD映像はスタンダードになるのでしょうか。それとも、あくまでもプラスアルファの存在にとどまるのでしょうか。また、映像のクオリティはどこまで上昇できるのでしょう。
西岡氏: ユーザーがHD映像に興味を持っていることは確かで、対応したテレビも販売台数を伸ばしています。ですが、地上デジタル放送も普及しつつあり、HD映像がスタンダードに近づいていますから、「きれいな映像ならプラスいくらかを払ってもらう」という考えは受け入れられないと思います。
映像クオリティは技術動向次第という側面が大きいですが、PCをメインプラットフォームと考える限り、利用に際してある程度の気軽さを維持することが必要と考えます。非常に高いクオリティの映像配信については、クライアントPCの処理能力がまずボトルネックになるでしょう。
――HD映像配信については現在も実験段階ということですが、本格的な商用サービスについてはどのように検討しているのでしょう。
西岡氏: HD映像配信は間違いなく本サービスとして展開します。ただ、コンテンツをユーザー側で快適に処理できなければ意味がありませんから、現在の課題はやはりプレーヤーソフトとクライアントPCのスペックにつきます。
STB向けにサービスを展開するとなれば話は別ですが、リビングにPCが進出していますし、PC向けサービスにこだわりたいですね。若い世代はPCでテレビを見ることに違和感を持ちませんし、高解像度のディスプレイを備えるPCをプラットフォームとしたほうがスムーズにHD化を進めることができます。
もちろん、STB向けの提供も検討していますが、サービスにあわせたSTBを開発しなくてはなりませんから、まずは手軽に映像配信を楽しめるPC向けサービスに注力していきたいですね。
また、実験を通じて、利便性を考えるならばダウンロード型での提供に有利な点が多いのではと感じています。配信するネットワークにFTTHを使っても、4Mbpsなど高ビットレートの映像をストリーミングで流すと、どこかが必ずボトルネックになる可能性がありますから。
――ダウンロード型提供となると、著作権管理を気にするコンテンツ提供者側の理解を得るのが大変なのでは
西岡氏: ダウンロード型でも理解され始めているのを感じます。コンテンツ提供側もずいぶん柔らかくなってきましたよ(笑)。
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