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ワイドズームで他社との差別化を図る――「Caplio R4」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(3/4 ページ)

» 2006年04月14日 18時45分 公開
[永山昌克,ITmedia]

作動音の静音化は今後のテーマ

――試用で感じた不満点について、いくつか質問します。まず、ズームやAF作動の駆動音がうるさいのが気になりました。

福井氏: その指摘はユーザーからもいただいており、次機種以降では極力改善していくべきテーマのひとつとして認識しています。リトラクティングシステムのレンズでは、メカ的に動かす部分が多いため、どうしても作動音が生じてしまいます。また、高速レスポンスを重視しているため、現状のバランスとしては静音性がやや犠牲になっていることも否定できません。

――動画モードは、最大サイズが320×240ピクセルと小さく、動画撮影中のズームもできませんね。

福井氏: 当社としては、まずは静止画の撮影領域を拡大することに力点を置いています。動画については、今後少しずつ改善していくつもりではありますが、現段階では達成できていません。

――私が試用した貸出機では、ズームのワイド側で撮影した場合に画面の左の上下に時々ケラレが生じることがありましたが。

中平氏: CCDのイメージサークルに対して、手ブレ補正の作動範囲はギリギリに設定しています。その個体はまだ試作機だったので、製品の組み付けの兼ね合いでケラレが生じた可能性があります。ただし、当社の規格値では、そんな問題がないように仕上げています。

――Caplioシリーズでは、機種を重ねるごとに液晶モニターの表示が徐々によくなっていると思います。Caplio R4の液晶は、明るい屋外も比較的見やすいですね。しかし、暗い場所では表示がきれいとはいえません。

中平氏: 暗い場所での液晶のモニタリングは、フレームレートの関係で露光時間が不足し、それを補うために表示のゲインアップを行っています。そのため、ご指摘にように暗いシーンでは表示がノイジーになってしまいます。この点につきましても今後のテーマのひとつです。

――ISO400やISO800の高感度の画質についてはどう思われますか? これは不満点というよりは、御社の考えをお聞きしたいと思います。

中平氏: 感度を高めるほど電気的なノイズの成分が増え、画像処理によってノイズを除去しようとすると解像感が損なわれます。私は解像を殺してまで、ノイズを消そうとは思っていません。自然なノイズであれば、あってもおかしくないはずです。

 Caplio R4の高感度の画像は、パソコンのディスプレイ上で等倍表示にしたり、A4以上に大きく印刷した場合にノイズが気になるかもしれません。しかし、サービス判の印刷なら、ほとんど気にならないはずです。仮に、きれいにノイズを消してしまったとしても、印刷サイズが小さければ、消していない場合と大差は生じません。それならば、むやみにノイズを取り除くよりも、大きく印刷・表示したときの解像感を残したほうがいいと判断しました。

photo Caplio R4で撮影。ホワイトバランスはマニュアルでセットし、感度はISO400を選択した

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