コラム
2006年04月25日 20時23分 更新

っぽいかもしれない:

あなたの知らない理化学の世界――理研公開 (1/4)

独立行政法人理化学研究所(理研)の和光研究所が一般公開された。113番元素を発見した線形加速器「リニアック」、超伝導リングサイクロトロン、脳の仕組みがわかる企画展示「ブレインボクス」など、あまり見る機会のないものがいろいろあった。

 独立行政法人理化学研究所(理研)の和光研究所の一般公開が、4月22日に行われた。

 展示は、広い研究所全体にちらばっているために、1日限りの公開期間で全部を見ることは不可能である。しかも、実際にそれを研究している人が説明してくれるのだ、こっちは聞きたがるし、向こうは話したがる。どうしても1カ所にとどまる時間が長くなってしまう。というわけで、開場から終了までいたのだけど、全体の4分の1くらいしか見られなかった。ここで紹介できるのは、そんな限られたものだ。見そこねた中にも、絶対面白いものはあったはずだ。

リニアック

 一昨年、113番元素が「発見」されたというニュースがあった。この113番元素をつくりだしたのが、この理研の線形加速器「リニアック」なのだ。新しい重元素をつくるためには、軽い2つの元素をぶつけ合わせて1個にするという方法をとる。今回の場合原子番号83のビスマス(209Bi)に、原子番号30の亜鉛(70Zn)を高速に加速してぶつけたのだ。83+30=113というわけだ。といっても、ぶつかって1つになってくれる確率は極めて低い。1つ目を見つけるために、1秒間に2.5兆子の亜鉛ビームを80日間照射し続けて、やっと1個得られた、という話である。論文やプレス発表はこれでいいのだけど、新元素の命名権を得るためには、同じ条件である程度安定して元素が得られなければいけないのだそうだ。そこで、2005年3月に実験が再開され、4月2日には2つ目の元素が得られた。

 「ところが、3つ目ができない。111番元素の名前がこの間レントゲニウム(Rg)と正式に決まりましたが、これはドイツなんですが、3つ作ったところで名前を付けてる。まあだから、3つ目を見つければ命名権を得られると思うんですが、これができない。わたしたちとしては、もう先の114番に進みたいんですが、そのまえに足下を固めておかないといけない」

 「作る費用ってのは人件費もありますが、ほとんどが電気代で、サイクロトロンは1時間動かすのにだいたい100万円かかります。2個目の元素をつくるのにはちょうど100時間くらいかかったから、1億。これだけ税金を使わせていただいています」

 新元素1個1億ならわたしは安いと思うのだが(3つ目はもっと高くついているんだけど)、どうだろう。ただ、名前はリケニウムよりはジャポニウムの方がいいです*1

 というわけで、その線形加速器「リニアック」を見たわけだ。

photo 全長およそ60メートル。見学通路からはとても全体像は見えない

 見た目には大きないくつもの箱をパイプで突き通したような形だ。この箱が加速タンクであり、パイプがビームが通るところだ。今回の実験では、もともとのビ−ム源も強力なECRイオン源になり、さらに線形加速器の最後に置かれた新たなCSMと呼ばれる加速装置を付け加えるなどのパワーアップがはかられていたのだ。


*1 ニッポニウムっていいたいのだけど、これは1908年に小川正孝教授が43番の天然元素として発見、命名もしたのだが、後に誤りであることがわかった『幻の元素』の名前なのだ(ちなみに43番はテクニシウム。天然元素としては存在しない)。また、ジャポニウムのいいところとして、ほかに「J」で始まる元素がないので元素記号がわかりやすいってこともある(「J」一文字になればいいけど、それはたぶん無理。「Jp」であろう)。

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[こばやしゆたか,ITmedia]

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