白物家電と呼ばれる家電製品の分野において、海外メーカーの製品は成功しないといわれる日本市場。確かに、身の回りを見渡せば冷蔵庫や洗濯機、掃除機などの生活家電は国内メーカーのものが多い。そんな「掃除機」という成熟市場に、サイクロン式という新機軸を持ち込んだのが、イギリスに本社を置く新興メーカーのダイソンだ。
「紙パックのいらない掃除機」「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というコピーのもと、日本での支持を広げているダイソンの掃除機。しかし、他社からもサイクロン式を名乗る掃除機が発売されている。数あるサイクロン式掃除機との違いや、ダイソンならでは人気の秘密について、ダイソン日本法人でPRエグゼクティブを務める樋口琴美氏に話をうかがった。
――ダイソンの掃除機には、どのようなモデルがラインアップとして用意されているのでしょうか。
樋口氏: 現在は、日本向けに開発された「DC12」が中心となっています。ですが、付属する「ツール」によっていくつかのバリエーションがあります。スタンダードなDC12、布団用のノズルが付いた「DC12 allergy」、ソファや毛の長いカーペット用のソファノズルが付いた「DC12 animalpro」、狭い場所用のフレキシブル隙間ノズルとマイクロタービンヘッドが付属する「DC12 complete」です。
また、従来の部品を用いた「DC12 entry」「DC12 turbo」という低価格なモデルと、「DC08」というモデルが一部で販売されています。
――「日本向けに開発された」ということですが、日本限定のモデルということになるのでしょうか。また、どのような点が新しく開発されたのですか。
樋口氏: 従来の製品に比べ、使用する部品の小型化と軽量化を図っています。当社は1998年に日本への展開を開始しましたが、DC12以前は世界共通モデルを販売していました。数多くの方にサイクロン式のメリットを知っていただいて好評を得たのですが、大きさや重さについては課題となっていました。1999年〜2000年にかけて、日本の住環境にマッチする専用モデルの開発が始まり、2004年にDC12を発売しました。現在のところ、DC12は日本専用モデルとなっています。
樋口氏: 一連の開発の中で得た、もっとも大きな成果が「デジタルモーター」の実用化と、DC12への搭載です。(従来のモーターに使われていた)ブラシや整流子といった部品を廃したことで、軽く小さくすることができました。吸引性能については従来よりも約30%、耐久性についても約2倍の改善がなされています。デジタルモーターはコンピュータ制御されており、使用回数やモーターへの負荷を記録することができます。また、サイクロンを発生させるクリアビンと内部のコーンについても、できるだけ小さく軽くなるよう考慮しています。
――ダイソン掃除機の代名詞ともいえるのが「サイクロン技術」だと思います。この技術について、詳しく教えていただきますでしょうか。他社からもサイクロン式の掃除機が発売されていますが、どういった違いがあるのでしょうか。
樋口氏: サイクロン式とは、竜巻のような空気の流れを作り遠心力でゴミを除去するというものです。現在の製品では「ルートサイクロン」と呼ばれる技術を用いており、吸引された空気はクリアビンて最初のサイクロンを起こし、大き目のゴミを落とします。その後内部のコーンに進んで小さく速いサイクロンを発生させ、残りのゴミを除去するのです。コーン内で発生する遠心力は最大で約15万G。ダイソン以外のサイクロン式掃除機では出せないパワーも、違いの1つです。
また、他社ではサイクロンとはいっても、ゴミの除去になんらかのフィルターを使っています。紙パックが不要という製品もありますが、最終的にフィルターに頼っていますので目詰まりや吸引力の低下は免れません。我々の掃除機ではフィルターでゴミを除去しませんので、目詰まりや吸引力の低下は起こりません。
ただし、吸い込まれた空気はデジタルモーターを通りますので、モーター保護と排気純度アップのために「プレモーターフィルター」を備えています。ここではタバコの煙よりも小さい微粒子を取り除くことができます。さらに、排出前にHEPAフィルターを通りますので排出された空気は吸引前よりも150倍程きれいになっている、というデータもあります。
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