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開発者に聞くN・U・D・Eシリーズ最高峰「MDR-EX90SL」小寺信良(1/4 ページ)

» 2006年05月08日 08時00分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 昨今の傾向として、遮音性の高いインナーイヤー型イヤフォン、特に高価格の製品は人気があるようだ。その火付け役となったのは、SHUREの「Ec」シリーズであろう。もっとも廉価な「E2c」でも1万円弱するが、2万円3万円オーバーの上位モデルも好調だ。特に日本を始めアジア地域ではよく売れているようで、SHUREでは新たに香港にアジア拠点を置くなど、積極的な展開を見せようとしている。

 およそ10年以上前にソニーのインナーイヤー型イヤフォンは、何も付けていないような装着感を表して、「N・U・D・E」というシリーズを立ち上げた。最近の製品では、小型9ミリのドライバユニットを採用したカナル型N・U・D・E EXシリーズ「MDR-EX51LP」は、廉価ながら遮音性に優れているということで、電車通勤している人の間で人気が高い。

 フィット感でも遮音性でも高い評価を受けるN・U・D・E EXシリーズだが、音質的にも納得できるハイエンドモデルが長らく不在のままであった。EXシリーズではないが、バイオセルロース振動板を用いた「MDR-E888」というハイエンドモデルがある。希望小売価格8400円という価格ながら、発売以来10年以上を経過するというロングセラーモデルとなっていることから、インナーイヤーでも音がいいものは地道に売れるようだ。

 そんな状況の中、ソニーがいよいよN・U・D・E EXシリーズにハイエンドモデルを投入する。5月10日発売の「MDR-EX90SL」がそれだ。希望小売価格1万2390円。従来であれば高いと思ったことだろうが、昨今は5万円超えのインナーイヤーも珍しくないため、微妙に感覚が麻痺する値付けである。

 スタジオモニターとして知られる「MDR-CD900ST」の設計コンセプトを継承し、モニター品質を名乗るインナーイヤーというのは、なかなか興味深い。

photo N・U・D・E EX最上位モデル「MDR-EX90SL」

若手が作った、今どきのインナーイヤー

 MDR-EX90SL(以下EX90)の商品企画を担当したのは、間利子 佳奈(まりこ かな)氏。一般的に女性はオーディオ品質にこだわらないなどとよく言われがちだが、ソニーには意外に女性のオーディオ製品企画者が多い。先頃リリースされた超高品位録再MD「MZ-RH1」も、バーチャルサラウンド内蔵AVラック「RHT-G1000」の商品企画も女性である。

 設計を担当したのは、太田 貴志(おおた たかし)氏と松尾 伴大(まつお ともひろ)氏。3人とも若い。おそらく皆20代だろう。

 そしてスーパーバイザーとして角田 直隆(つのだ なおたか)氏。この人がとてつもなくスゴい。「MDR-CD900ST」を始め、前出の「MDR-E888」、「Q010-MDR1」、最近では「MDR-Z900HD」と、ソニーの名だたる名機の設計者である。

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