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恐怖の“エレクター拡張したい症候群”コラム(1/2 ページ)

» 2006年05月18日 03時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「エレクター」の名前を知らなくても、見たことがない人はまずいないだろう。米国生まれのスチールワイヤーシェルフは、頑丈さとシンプルなデザイン、柔軟な構成などが支持され、雑貨店の陳列棚から家庭の収納まで、実にさまざまな場所で使われている。写真を見れば、誰でも「ああ、あれか」と頷くはずだ。

photo これです

 クロームメッキを施したスチールやステンレスを主な材料とし、棚板1枚あたり135キロという耐荷重を誇るエレクター。わが家でも10年ほど前からAVラックとして愛用しており、つい先日も新たなパーツを導入して拡張した。

 ……そう。拡張してしまったのです……3度目の。

 エレクターの魅力は、本格的なAVラックと比べて安価(比較対象が高すぎ)でありながら、とにかく丈夫なこと。またパーツが豊富で入手しやすく、簡単にカスタマイズできる点も良いところだ。ポスト(支柱)やシェルフ(棚板)の種類はもちろん、棚板同士を連結するコネクタ、棚の中に棚を作るシェルフ・イン・シェルフ、さらには棚の中を見えなくするスクリーンなど、アイデアもののパーツも数多く揃っている。システムが変わったときにも柔軟に組み替えが可能で、過去の投資が無駄にならない。

 さらに、そのシンプルなデザインはシルバーやブラックが多いAV機器と相性がいい。イジワルな同僚Mなどは「エレクターのデザインって、どこにでも置けるけど、どこにも似合わないよね」などと言うが、そんなことはない。エレクターのスタイルは、汎用性と耐久性を追い求めた結果だ。その構造と金属素材が、圧倒的な機能美を作り出しているのだ。たぶん。

 思い起こせば10年前。初めて液晶プロジェクターを入手して、ウキウキ気分(死語)で設置方法を考えていた。床に置くと邪魔になるから、できれば天吊りにしたい。しかし賃貸アパートでは壁や天井にネジ穴を開けるわけにもいかず、突っ張り棒の購入を検討しはじめた頃、同僚から不要になった「Standard ERECTA」を譲り受けた。当時はエレクターを使って三管式プロジェクターを設置する人も多かったので、さっそく天版に液晶プロジェクターを固定してみると……これが抜群の安定感で具合がよろしい。初めて味わった大画面の感動と入り交じり、エレクターの良いイメージが頭に刷り込まれたものと思われる。

photo 「Standard ERECTA」のポスト(支柱)とシェルフ(棚板)の接合部。現在の「Home ERECTA」と異なり、ポストまでスチールワイヤーで作られている。パーツ同士をがっちりはめ込む構造のため、組み立て/解体作業にはゴムハンマーが欠かせない。現在の「テーパードスリープ方式」がいかに画期的だったか理解できる
photo こちらがテーパードスリープ方式。ポストの溝に合わせてテーパードスリープを左右からはめ込み、上から棚板を載せる。テーパードスリープは下のほうが厚くなっていて、荷重がかかるほどポストに対する締め付けが強くなる仕組みだ。単にポストの溝に棚を引っかけているわけではない

 そのためか、今でも新しいAV機器を購入したり、ツボにハマる新パーツを見つけたりすると、AVラックをリニューアルしたい衝動に駆られる。これが世に言う「エレクター拡張したい症候群」だ。気になるパーツを見つけると買わずにはいられないPC自作ユーザーや、新車を買うとチューニングしたくなる走り屋さんなどと同じように、頭のなかで物欲ホルモン(?)が大量に分泌されている状態なのだろう。

 症状としては、

  • 1. カタログと自室のシェルフを見比べて考え込む
  • 2. メジャーを取り出して部屋や機材の寸法を計りはじめる
  • 3. ペンとメモ帳を取り出し、なにやら図面を書きはじめる
  • 4. 家具屋さんのWebサイトでパーツの見積もりをしてしまう
  • 5. ポチッとな
  • 6. やってもーた!

 などが挙げられる。なお、あまり大きな症状(大きなシェルフを組み立てる)が出ると、病気がおさまっても“筋肉痛”という後遺症に悩まされることがあるので気をつけてほしい。

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