デザインにこだわったIXY DIGITALシリーズに対して、実用性やコストパフォーマンスを重視したのがPowerShot Aシリーズである。キヤノンのラインアップの中では最もエントリークラスに位置している。
といっても、ビギナー向け廉価機とあなどってはいけない。絞りやシャッター速度のマニュアル機能を搭載し、オプションのワイコンやテレコンに対応するなど、中級者以上のニーズにも応えている。単三形電池が使えることも、用途によっては便利だろう。
そのPowerShot Aシリーズの中でも、この春に出た最上位モデルが「PowerShot A700」である。CCDには1/2.5インチの有効600万画素を採用し、これまでは最高4倍だった光学ズームを6倍へと拡張した。さらに最高ISO800の高感度モードにも新対応している。
同じく光学6倍ズームを搭載した600万画素機としては、松下電器産業の「DMC-LZ5」がある。単三形アルカリ電池対応も共通であり、格好のライバルといえる。あちらは光学式の手ブレ補正機構を搭載するが、残念ながらこちらはIS非搭載だ。だが、マニュアル機能やアクセサリーの充実度では上回る。
ボディはこれまでのPowerShotシリーズと大きく変わらず、レンズ部とグリップ部が突き出たシルバーの四角いデザインだ。アルミのほか、樹脂を多用した外装の質感も従来通りである。
上部の電源ボタンを押すと、レンズが約23ミリほど飛び出し、約1.5秒で撮影スタンバイになる。レンズの35ミリ換算の焦点距離は35〜210ミリ相当。ワイド側は平凡だが、テレ側は望遠と呼べる焦点距離だ。光学10〜12倍ズーム機に比べれば見劣りするとはいえ、遠くの被写体を引き付けて撮ったり、遠近感を圧縮した構図を味わえる。
ただ、これほどの焦点距離になると、やはり手ブレに対する不安が残る。テレ側での撮影時は光学ファインダーを利用するなど、ボディをしっかりと支える工夫が必要だ。光学ファインダーには実際に写る範囲とのズレ(パララックス)があり、正確な構図を決めにくいのは不満だが、このクラスのカメラでは仕方ない。
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