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“危ない”の前に制御する、ITセーフティドライビング人とくるまのテクノロジー展

» 2006年05月24日 22時45分 公開
[ITmedia]

 自動車に関連した各種技術の展示会「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展 2006」が始まった。今年で15回目を迎えるこの展示会では、ITを導入することで安全な運転をアシストする仕組みも多く展示されている。

 トヨタ自動車が展示しているのは、ブレーキ/駆動力/ステアリングの各制御を統合した車両制御システム「VDIM」(Vehicle Dynamics Integrated Management)の効果を体験できるシミュレータ。VDIMは限界を超えてから動作する既存の制御システムとは異なり、限界前に制御を開始することで安全性を高めている。

photo トヨタのVDIMシミュレータ
photophoto ゲーム機のようなリアルな画面でVDIMオン/オフを疑似体験できる

 同様の統合車両制御システムはトヨタ自動車以外も研究を進めている。富士重工はステレオカメラとミリ波レーダーで前方を認識、得られた情報を車両制御システムに入力することで、“歩行者が飛び出してきてもスリップやコースアウトすることなく安全に回避する”という車両統合制御システムのデモを行っている。

photo 富士重工の車両統合制御システムを体験できるシミュレータ

 三菱電機が展示している「GRANDIS ASV-3」は“ぶつからない、ぶつけられない”ことを目指した実験車両。レーダーを搭載しており、障害物にぶつかりそうになるとドライバーへ警告を出すほか、ドライバーの回避行動が間に合わないと判断した場合には、ブレーキをかけつつ、シートベルトと座席を自動的に調整し、ドライバーへの被害を最大限に抑えようとする。

 運転中、オーディオなどを操作しようと手や視線を大きく動かすことも事故につながる要因のひとつ。GRANDIS ASV-3はシフトレバーの下に各種操作が可能なタッチパッド「センタータッチパッド」を用意し、運転中に注意力を低下させずに各種操作が行えるように配慮されている。

photophoto GRANDIS ASV-3のフロントには、外からでは分からないがレーダーを内蔵している(左)、シフトレバーの下にあるのが「センタータッチパッド」(右)

 少々毛色の変わったシステムを展示するのはデンソー。「ドライバアシスタンスシステム」は心電波(心電図の波形)センサーとカメラを運転席に装着し、ドライバのまばだきや心電波の変化をとらえ、眠そうだと判断すればエアコンから冷風を吹き出してドライバーの眠気を飛ばす。

photo ドライバアシスタンスシステム

 眠気覚ましのほかにも、カメラの顔認識機能を利用し、登録された運転者にあわせてシート位置を自動調整したり、心電波センサーを利用して利用者の健康状態に異変が起きた場合に外部へ連絡するなどの利用が想定されている。

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