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死の商人の実態とは!?――「ロード・オブ・ウォー」新作DVD情報

» 2006年05月29日 08時37分 公開
[本山由樹子,ITmedia]

ロード・オブ・ウォー

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(C) 2005 Film & Entertainment VIP Medienfonds 3 GmbH & Co. KG and Ascendant Filmproduktion GmbH

 世界中の戦争や紛争地域で暗躍し、巨額の利益を手に入れる男たち。ハリウッド・メジャーでは描かれることのなかった、武器売買というビジネスの実態に初めてメスをいれた問題作だ。監督は「ガタカ」「シモーヌ」のアンドリュー・ニコル。

 1982年のニューヨーク。さえない人生を送るウクライナ移民のユーリーは、ギャング同士の銃撃戦に遭遇した瞬間、銃の売買に興味を抱く。さっそく兵器フェアに足を運ぶが、素人同然の彼は大物武器商人からは相手にされず、目をつけたのは紛争地域を撤退する米軍で不要になった中古品の売買。これをきっかけに、ユーリーは闇ルートを開拓し、抜群の商才を発揮していく。

 野心に燃えるユーリーは弟を仲間に引き入れるが、商売の規模はまだ小さく、自分をリッチな実業家と偽り憧れの美人モデル、エヴァと結婚。しかし、偽りの贅沢な暮らしは財政を圧迫していく。そんな彼の転機となったのが、1991年のソ連崩壊だった。彼はウクライナの将校である叔父を手玉にとり、崩壊したソ連軍の兵器を安価で大量に買い占める。そして紛争中のアフリカの国々を相手に次々と売りさばき、大物武器商人に一気にのし上がっていく。だが、この武器流入がアフリカ小国の民衆大量虐殺を招き、ユーリーの心に葛藤が芽生え始めて……。

 武器売買で莫大な利益を得る武器商人たちは、彼らの売る武器が戦争や虐殺を招くことから死の商人とも呼ばれている。そもそも武器商人は第2次大戦後の混乱期から台頭し始めたビジネス。彼らを大いにのさばらせることになったのは、米ソの冷戦締結により旧ソ連の武器がアジア、中東などに大量流出したためである。

 主人公のユーリーは架空の人物だが、監督は、実在する5人の武器商人をモデルにユーリー像を創作。さらに、彼らから取材した実話も盛り込み、撮影で使われた戦車、ヘリなどの兵器は実際で戦場でも使われた本物を使用するというこだわりようだ。

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 主演は「ナショナル・トレジャー」のニコラス・ケイジ。次回作にはあの9.11をテーマにしたオリバー・ストーン監督作「ワールド・トレード・センター」の公開が控えている。共演は「トレーニング・デイ」のイーサン・ホーク、「アレキサンダー」のジャレッド・レト、「デイ・アフター・トゥモロー」のイアン・ホルム、紅一点として「アイ,ロボット」のブリジット・モイナハンが華を添えている。

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 特典は監督による音声解説のほか、ロケの舞台裏を収めたメイキング、出演者のインタビュー集、専門家が兵器ビジネスの実態などを解説するドキュメンタリーなどを収録。

 一見とっつきにくそうな題材だが、社会派エンターテイメントとして割とすんなりと入り込める作り。政府や軍も関与する武器売買のからくり、武器輸出大国アメリカと武器商人の黒いつながり……これまでタブーとされてきた衝撃の真実を目の当たりにしてみてはいかがだろうか。

関連サイト:http://www.lord-of-war.jp/index2.html(公式サイト)

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ロード・オブ・ウォー
発売日 2006年6月9日
価格 3990円
発売元 日活
販売元 日活
スタッフ 監督・脚本・製作:アンドリュー・ニコル/撮影:アミール・モクリ/編集:ザック・ステーンバーグ
出演 ニコラス・ケイジ、イーサン・ホーク、ジャレッド・レト、ブリジット・モイナハン、イアン・ホルム
上映時間 122分(本編)
製作年度 2005年
画面サイズ シネマスコープサイズ・スクイーズ
ディスク仕様 片面2層
音声 (1)ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語 (2)DTS/5.1chサラウンド/英語 (3)ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語 (4)音声解説
特典 メイキング/未公開シーン/キャスト&スタッフインタビュー/ドキュメント「武器ビジネスの裏側」/予告編集/キャスト&スタッフプロフィール(静止画)/フォトギャラリー(静止画)/解説書 武器商人データファイル12P(初回限定封入)

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