ITmedia NEWS >

包み込むディスプレイから「スカウター」まで産業用バーチャルリアリティ展(2/2 ページ)

» 2006年06月23日 21時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2       

現実と仮想を組み合わせるテクニック

 次世代ホビーフェアのポケモンブースに設置されていたので、見た記憶のある人もいるかも知れない。絵札をカメラに向けても何も起きないが、「?」と書かれた裏面を向けると、ポケモンキャラクターが登場するのだ。フェアでは抽選システムとして使われていた。

photophoto 表をかざしても何も見えない(左)、裏返して「?」をカメラに向けるとキャラクターが表れる(右)

 これはNTTアドバンステクノロジの3D画像合成システム「AmazeART」を使用したデモの一例だ。このシステムはマーカー(黒など深い色の四角枠)をカメラが画像認識し、その部分にあらかじめ用意されたオブジェクトを合成し、画面へ映し出す。オブジェクトは同社の3D画像キャプチャシステム「AmazeCAP」で作成する必要がある。

 マーカー(デモの場合はモンスターボール)の認識も高速で、マーカーを素早く動かしても、画面内のオブジェクトはほぼリアルタイムに追従してくる。「画像合成システムを使っている」と思わせる動作のもたつきは皆無だ。

 松下電工も同様のデモを行っていた。NTTアドバンステクノロジのAmazeARTはマーカーを平面で認識していたが、松下電工は距離(奥行き)も感知できる「距離画像センサ」を使用することで、“奥行きのある合成平面”を作り出している。

photophoto 中央のカメラに手を近づけると、手が水しぶきをかき分ける。手が近づいているという距離情報を検出しているから可能な処理だ(左)。降ってくるボール(?)をつかむには手を近づけなくてはならない(右)

 この距離画像センサーは従来のレーザーを利用した距離センサーと異なり、近赤外線と特殊なCCDを組み合わせて距離を検出しているため、人体にも危険が少ない。セキュリティやロボット用センサーとしての実用化が期待されているという。

photophoto こちらはILTJのデモ。画面の中にはCGのチョウが存在し、マーカーを中心に飛び回る。マーカーの位置検出には磁気センサーを利用している。

スカウター? ドラゴンボール世代のHMD

 バーチャルリアリティっぽいアイテムといえばHMD(ヘッドマウントディスプレイ)。極東貿易が展示していたのは米Motion Research Corporation製の「MC1 SportVue」。オートバイのヘルメットなどに装着し、速度やエンジンの回転数を利用者へ伝えるデバイスだ。

photophoto 装着例

 オートバイに装着したモジュールで速度やエンジン回転数といった情報を取得し、ワイヤレスUSBでディスプレイユニットへ送信する。ディスプレイのLED輝度は3段階に調整可能だ。「スカウター感覚で身につけてください」とは担当者。米国では249ドルで既に販売されているが、国内については「道交法と電波法をクリアする必要があるため、現在調査中」とのことだ。

photophoto MC1 SportVueを装着したヘルメットをかぶると、このようにディスプレイが視界に入る(左)。利用イメージ(右)
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.