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アオシマのロボットアームで僕と握手インタビュー(1/3 ページ)

» 2006年06月28日 11時25分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo 「ロボットアーム」

 青島文化教材社が6月下旬に発売する「ロボットアーム」は、教材感覚で楽しめるロボットキット。PCに接続しての本格的な制御を可能にしながら、3万4440円という手頃な価格が特徴だ。日本でも有数の模型メーカーである同社がロボット市場に参入した経緯を、ホビー事業部 企画開発部の堀田雅史氏に聞いた。

――模型メーカーである御社が「ロボットアーム」を開発した経緯を教えてください。

堀田氏: 現在のトイ/ホビーの市場には、完成品を買って動かすだけであったり、組み立てたあともこれといった発展性のない製品が多くなっています。購入して、組み立てが終わった時から、新しい可能性が広がる製品を企画したとき、ロボットという答えが出てきました。

 昨今は、ロボットというと2足歩行だったり、自律型だったりというものが話題ですが、産業用を含めると世の中で一番活躍しているのはこのアーム型のロボットです。基本ともいえるスタイルのロボットを教材として販売することで、手軽にかつ楽しくロボットの世界に触れて欲しいと思ったんです。

 できるだけ価格を抑えながら、ロボットとして最低限の構成になるのがアーム型という面もあります。見た目は古くからあるロボットですが、制御ソフトの活用によって、これからお見せするパフォーマンスのように実に多くの動きを与えられます。

photo 青島文化教材社 ホビー事業部 企画開発部の堀田雅史氏(左)。営業部の青嶋大輔氏

――見たところ、近藤科学製のサーボモーターが使われていますが、どのようなパーツが使われているのでしょうか、また、構成はどうなっていますか。

堀田氏: サーボとコントロールボードについては、近藤科学さんがロボット用に開発したものを使っています。サーボは標準キットの状態では3軸ですが、オプションパーツのロボハンドアタッチメントにより1軸追加されて、物をつかむことができるようになります。また、旋回ユニットでもう1軸が加わり、可動範囲を広げることができます。オプションをすべて使うと5軸制御のロボットアームに発展します。

photo 素に組んだ状態のロボットアーム

 コントロールボードはRCB-1を使用し、制御ソフトも「KHR-1」と同じものを同梱しています。すでに多くのユーザーが使っているプラットフォームなので、アオシマのロボットといえども安心してお買い求めいただけますよ(笑)。

 フレームの素材はABS樹脂です。キットの状態ではこのようにグレーですが、色を塗って個性を出すこともできます。離型剤を洗えばプラモデル用の塗料でも問題なく、ちょっとこすったりセロテープを貼ってはがす程度では落ちません。下地にサーフェイサーを使えば、もっときれいに色がでます。

photophoto 使用されているサーボモーターと、コントロールボード

――多彩な動きが行えるとのことですが、動作はどのように入力させるのでしょうか。

堀田氏: PCとの接続はRS-232C(Dsub9ピン)で、ソフトの画面上にあるスライダーか、数値入力でサーボモーターを動かします。ただ、これで動きを覚えさせるのは手間ですから、アームを手で動かして動きをプロットさせます。双方向型のサーボを使用しているので、アームの動きをフィードバックし、記憶させられるんです。

 一連の動作を「動作シナリオ」と呼んでいて、動作シナリオは最大40個の「モーション」を組み合わせからできています。さらに、モーションはサーボのポジションを1カ所ずつつなげたもので、最大99ポジションを記憶させられます。字を書くなど、かなり複雑な動きを覚えさせられます。

 また、本体側にコントロールボードのRCB-1を搭載しており、動作シナリオを記憶できます。そのため、ケーブルを抜き、ロボットアーム単体での稼動も可能です。ちなみに電源は単一形乾電池4本です。

photophoto PCとの接続はRS232C(Dsub9ピン)。制御ソフトは近藤科学製「KHR-1」と同じHeartToHeart Ver1.4

――どういったユーザーを購買層と見込まれてますか。

堀田氏: 高校生や大学生はもちろんですが、工作サークルやロボットサークルの方々に使っていただきたいです。ロボットとしては、最低限の構成といえるでしょう。その分、ロボット制御の基礎を学んだり、仕組みを楽しむにはぴったりだと思います。また、2足歩行ロボットでは価格の面でも、技術的にも敷居が高いけど、手軽にロボットを趣味で始めてみたいという方にもお勧めです。「KHR-1」などと同じプラットフォームですから、発展性があります。

 組み立てた後、ロボットらしく動作させるには、ある程度の苦労が伴いますが、単に作って終わりではなく、自分でさまざまな動きを作って楽しんで欲しいですね。

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