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「悪魔の存在を初めて認めた裁判」「この映画はホラーではい、実話だ」公開時のこの宣伝文句からも分かるように、本作は1976年、ドイツで実際に起きた悪魔祓い事件・裁判をアメリカに舞台を置き換えて映像化したオカルト・ホラーだ。いやホラーといっても、「エクソシスト」系のオカルト・ホラーの要素を持ち合わせた、法廷サスペンスといったほうが正しい。
物語はアメリカの片田舎に住む大学生エミリー・ローズの凄惨な死から始まる。死因は極度の栄養失調による衰弱死。彼女の全身には自傷行為による無数の傷跡が残されていた。この変死事件の背景には、エミリーの身に起きた悪魔憑き体験があった……。
奨学金で都会の大学に通い始めたエミリーは、ルームメイトが留守の晩、あまりの焦げ臭さに、ふと目を覚ます。その時、時計の針は午前3時をさしていた。そして、ひとりでにドアが開くなどポルターガイスト現象に遭遇する。
エミリーは大学病院に診療を受けに行くが、痙攣と幻覚は悪化し、まるで呪われているかのように、体は衰弱するばかり。すがるように向かった教会では、背中が反り返り、もはや悪魔の存在を否定できなくなっていく。
療養のため実家に戻ったエミリーは、奇声を発し、家族を罵倒し、クモをむさぼるような奇行に走る。見かねた家族はムーア神父を呼び、ハロウィーンに悪魔祓いを敢行。彼女の中から6体の悪魔が応答する。ところが、悪魔祓いは失敗に終わり、エミリーは死亡。神父は過失致死で起訴されてしまう。
カトリック教会の要請で女弁護士エリン・ブルナーが弁護に立つが、被告のムーア神父は司法取引に決して応じようとしない。こうして悪魔の存在を巡る、そして悪魔祓いの是非を問う異例の裁判が始まった。
映画の大半は法廷シーンで構成され、エミリーに起こる怪現象の数々は証人たちの目撃証言から回想形式で表現される。彼女は精神病だったのか? それとも悪魔に憑依されていたのか? 薬の服用をやめさせ、悪魔祓いの儀式に臨み、結果的に彼女を死に至らしめた神父の行動は罪になるのか? 息詰まる法廷論争が展開される。
とにかくエミリー・ローズ役のジェニファー・カーペンターの新人らしからぬ演技は圧巻。形相、叫び、悪魔に憑かれて披露する見事なイナバウアーなどなど、彼女の鬼気迫る熱演が、本作を説得力あるものに仕上げている。でも、これでホラー女優のイメージが定着し、そこから抜け出せるかどうかが、ちょっと心配。それほどの強烈なインパクトなのだ。共演は「愛についてのキンゼイ・レポート」「真実の行方」のローラ・リニー、「フル・モンティ」「恋におちたシェイクスピア」のトム・ウィルキンソンら。
レンタル版は119分の劇場公開版だが、セルDVDは劇場版より3分長いノーカット版でリリース。特典はスコット・デリクソン監督の音声解説、メイキングのほか、世界中で活躍する本物のエクソシストたちを紹介したTVドキュメンタリーなどを収録。
裁判劇の緊張感と、オカルト・ホラーの視覚的な怖さ、両方の醍醐味を堪能できるエンタメ作品。原因不明の焦げ臭さで目が覚め、その時、ちょうど午前3時だったら、それは悪魔が側にいる前兆らしい。気をつけましょう!
関連サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/theexorcismofemilyrose/site/(公式サイト)
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