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「HDR」v.s.「HitPot」、HDDはテレビライフを変えるか?勝手に比較レビュー(1/5 ページ)

» 2006年07月08日 02時49分 公開
[岩城俊介, 芹澤隆徳,ITmedia]

 CATVユーザーは、長きに渡って録画環境という点で不遇な立場に置かれていた。しかし、J:COMなど一部CATV局が提供を開始したHDD内蔵STBは、その状況を変える可能性を持っている。

 そこで今回は、+D編集部のJ:COMユーザーI記者とイッツコムユーザーのS記者が自腹を切って新STBを導入。ヒューマックス製「JC-5000」(通称:HDR)と松下電器産業製「TZ-DCH2000」(通称:HitPot)を試した。いずれも250GバイトのHDDと64QAM(CATVの変調方式)のツインチューナーを搭載し、2番組同時録画に対応している。また、放送波をまたいで番組表を一覧できる「スマートEPG」など共通点も多い。はたして、多チャンネル時代のSTBは、彼らのテレビライフを変えることができたのだろうか?

 最初にお断りしておくが、STBは各CATV局が採用する機種を決めているため、たとえばJ:COMユーザーが松下製STBを求めても借りることはできない。「それで比較する意味あるの?」と言われると……実はあまりない(申し訳ない)。それぞれの機能と使い勝手を紹介することで、導入を検討している方々の参考になれば幸いだ。

「HitPot」の外観とインタフェース

 まずはTZ-DCH2000。DIGAそっくりの筐体は横幅430ミリの一般的なオーディオ機器サイズだが、前面にDVDドライブがないためか、かなりスッキリとした印象だ。前面表示窓は文字が大きく、はっきり見える高輝度タイプ。ケーブルテレビユーザーにはお年寄りも多く、表示の見やすさも重要な要素だろう。

photophoto 「TZ-DCH2000」(左)。「HItPot」という愛称は、イッツコムなど東京・神奈川のCATV4社連合が統一ブランドとして採用したもの。今回は、便宜上「HDR」に相当する通称として使用させていただく。前面の表示窓は文字が大きく、はっきり見える(右)

 前述のように、TZ-DCH2000は64QAMのチューナーを2つ搭載し、ハイビジョン番組を含むデジタル放送を2番組同時に録画できる。250GバイトHDDの録画時間は、地上デジタルハイビジョンで約23時間、SD画質では約69時間。専門チャンネルはまだハイビジョン放送が少ないのでさほど不自由は感じないが、地上/BSデジタル放送をバリバリ録画する人は不満に思うかもしれない。

photo 自動上書きをオンにしておくと、HDDが満杯になったとき、ロックしていない番組を古いものから消去して新しい番組を上書きする。HDDが満杯で新しい番組が録れなかった、というミスを防げる

 なお、HDDが満杯になったとき、ロックしていない番組を古い順に新しい番組で上書きさせる設定も可能だ。こうすれば、少なくともHDDが満杯で新しい番組が録れなかった、というミスを防ぐことができる。

 残念なのは、それまで使っていた松下製STB「TZ-DCH250」がD端子を含めて3系統の映像出力を持っていたのに対し、HitPotは2系統に減ってしまったこと(下写真参照)。うち一系統は外部レコーダーで録画する際、タイトルやGUI画面などが入りこまないようにできる「ビデオ用」の専用出力端子だ。

 「テレビ用」「録画用」の端子が1つずつという仕様は、割り切り方としては潔い。おそらく、メインユーザーとなるファミリー層にとっては分かりやすいだろう。一方、筆者宅のようにテレビと液晶プロジェクターなど複数の映像表示機器を使っている人には物足りなく感じるかもしれないが、実際に繋いでみると、HDMIとテレビ用出力(D端子もしくはS/コンポジット)は同時に利用できた。インタフェースは選ぶものの、実質的にテレビ用が2、ビデオ用が1と数えることもできるだろう。なお、HDMI端子は松下の「VIERA Link」にも対応しており、テレビのリモコンでDCH2000を操作可能だ。

photo 背面。HDMIとD4端子が各1、S端子付きのコンポジット出力が2つある。基本的には「テレビ用出力」と「録画用出力」の2系統で、D端子とS端子/コンポジットのテレビ出力は排他利用。横にあるディップスイッチでコンポーネント/コンポジットを切り替える。そのほか、光デジタル音声出力i.Link×2などを備える
photo DVDに残したい番組は、パイオニアのDVDレコーダー「DVR-720H」とIrシステム連携で録画している

 外部レコーダー連携は、i.LinkおよびIrシステム(赤外線マウス)という2つの方法が用意されている。ただし、残念ながらi.Link端子を使うのは、秋に予定されているファームウェアアップデートを待たなければならず、IRシステムはDVDレコーダーの対応機種が少ないのがネックだ。ビデオデッキはほとんどのメーカーをカバーしているが、DVDレコーダーは松下製のほか、パイオニアと三菱しかサポートされていない。

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