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ZMP、ロボット教材「e-nuvo」を本格展開

» 2006年07月11日 17時57分 公開
[ITmedia]

 ゼットエムピーは7月11日、ロボットを活用するエンジニア教材「ZMP e-nuvo」の新シリーズを発表した。従来の二足歩行ロボットにくわえ、倒立二輪ロボットやアーム型ロボットなどバリエーションを拡大。エンターテイメント分野に並ぶ事業の柱として本格展開を図る方針だ。

photo 「ZMP e-nuvo」シリーズ

 同社が2004年春に発売した学習用二足歩行ロボット「e-nuvo」は、現在ではバージョン2.5となり、大学や高専、企業の研修用などに累計300台を出荷している。しかし同社の谷口恒社長によると、「脚部だけで12軸を持つe-nuvoは複雑かつ高価で、教科書も300ページとボリュームがあった。このため短期間の研修や基礎的な学習にはハードルが高く、また予算の都合で数台しか購入できないユーザーも多い」と話す。

photo ZMPの谷口恒社長

 一方、組み込みソフトウェアの基礎知識やMBD(モデルベースデザイン)、制御シミュレーションツールの習得といった新しいニーズも生まれてきた。そこで新教材では、学習の目的に合わせて4種類の教材をラインアップ。バリエーションの拡大とともに、カリキュラム全体を大幅に見直している。

 教材は、二足歩行ロボット(脚部)を使う「e-nuvo WALK」のほか、倒立二輪ロボットの「e-nuvo WHEEL」、アーム型ロボット「e-nuvo ARM」、モータ制御の基礎を学べる学習キット「e-nuvo BASIC」をラインアップ。教科書は10種類に増やす一方、一冊あたりの分量を50ページ程度に抑えており「数時間の講義で学習できる」という。

 カリキュラムの作成に関してはルネサステクノロジおよびサイバネットシステムが協力し、ルネサスの組み込みCPU学習教材「スターターキット」およびサイバネットが販売する「MATLAB/Simulink」を利用して学習が行える仕組みとした(いずれも別売)。MATLAB/Simulinkは、企業における製品設計の標準的なツール。エンジニアは、より実践的な学習が行えることになる。また倒立二輪ロボット教材では、現代制御の専門家である慶應義塾大学・足立修一教授がカリキュラムの監修を担当した。各教材の概要は下記の通り。

e-nuvo BASIC(モータ制御学習キット)

e-nuvo BASICと「スターターキット」

コンセプト:電気・電子工学系。ロボットの電子回路やモータ制御を学ぶ。

ポイント:ルネサステクノロジの「スターターキット」を用いる。

価格:2万9400円(基本セット)


e-nuvo ARM(アーム型ロボット教材)

コンセプト:機械工学系。ロボットのメカニズムと部品の設計・製作を学ぶ。

ポイント:「MATLAB/Simulink」を用いて運動学を学ぶ。機械設計のスキルを養成する。

価格:5万6700円(基本セット)


e-nuvo WHEEL(倒立振子・二輪ロボット教材)

e-nuvo WHEELには外装なしの廉価版も用意される

コンセプト:制御工学系・機械工学系。ロボットを動かす物理法則とその制御方法を学ぶ。

ポイント:「MATLAB/Simulink」の使い方を学習する。

価格:29万4000円(外装付き)


e-nuvo WALK(二足歩行ロボット教材)

e-nuvo WALKも外装あり/なしを選択可能

コンセプト:工学系全般。二足歩行ロボットというシステムを理解する

ポイント:ロボット全体を1つのシステムとして理解することで全体を見通す能力を持ったエンジニアを育成する

価格:68万400円(外装付き)


 ZMPでは、同社サイトで先行予約を受け付け、9月下旬に出荷を開始する予定だ(e-nuvo ARMのみ12月出荷予定)。初年度の販売目標は、シリーズ全体で3億円程度。谷口社長は「ロボットを動かす感動を通じて“ものづくり”の楽しさを学び、工学の基礎と産業界で必要とされる実践的な技術を体得してもらう。学校から企業まで幅広いエンジニア育成に貢献していきたい」と話している。

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