それでは、早速そのサウンドをチェックしてみよう。
電源を入れると、真空管の取り付け部分がブルーのLEDで青白い光を発する。「真空管アンプ」という言葉の響きと、LEDの涼やかな青い光がミスマッチな気もするが、デスクサイドのアクセサリーとして考えればアリだろう。
本製品はアンプとして販売されるので、スピーカーは別途用意しなければならない。サンコーからは「iBlueTubeスピーカーセットモデル」として本製品とJBLのコンパクトスピーカー「CONTROL 1 Xtreme」をセットしたモデルも用意されるので、今回はそちらを利用した。もちろん、手持ちのスピーカーを組みあわせても問題ない。
肝心のサウンドだが、「真空管」という言葉からイメージされるほど中域の厚みを強調するわけでもなく、クセのない耳あたりのよいサウンドだ。音像はしっかりとしているが、高音がキンキンするなどトゲトゲしいところはなく、ソースを選ばずに利用できそうだ。
組み合わせたスピーカーの特性もあるだろうが、ギターの入った曲を聴いていると、ハーモニクス奏法で奏でられた倍音が非常に心地よく、個人的にはロックが気持ちよく聴けた。ただし、あまり音量を下げると中〜低域がモコモコして、輪郭がぼやけるような印象も受けた。室内のBGM用として使うぐらいの音量設定がベターなようだ。
駆動力も十分で、しっかりとCONTROL 1 Xtremeをドライブできている。ただ、利用中はiPodの充電機能をOFFにしておいたほうが良さそう。充電しながら利用すると、ごくわずかだがヒスノイズがのってしまうことが確認できた。
試しに手元のスピーカー、オンキヨー「D-062A」を組み合わせてみたが、ハコのサイズがCONTROL 1 Xtremeより大きいためか、中〜低域の厚みが強調されたかわりに、やや高音部の伸びがもたつくような印象に変わった。出力を考えるにあまり大型のスピーカーはあわないと思われるが、スピーカーを交換しながら好みのサウンドを模索してみるのも面白い。
本製品の価格は4万2800円(予約期間中は3万9800円)。iPod専用真空管アンプという類を見ない製品ではあるが、スピーカーを別途用意する必要があるため、スピーカー内蔵タイプのクリプシュ「iGroove」(レビュー)や、アップルの「iPod Hi-Fi」(レビュー)などに比べると、iPodの音を気軽に楽しみたいという層にはやや敷居の高い価格設定ともいえる。
ただ、本製品には“真空管交換可能”という他製品にはない特徴を備えている。最近ではすっかりトランジスタやICに取って代わられてしまった真空管だが、ことオーディオアンプの世界では独特なサウンドを生み出すことからファンも多い。今回は時間の関係上、真空管を交換しながらのサウンドチェックはできなかったが、利用されている真空管「6922」(もしくは互換品の6DJ8)はまだまだ通販ショップやオークションで入手可能だ。
iPodを差し込むだけで手軽にサウンドを楽しむのもいいが、あーでもないこーでもないと真空管を交換したり、スピーカーを取りかえてみるのもオーディオの楽しみ方のひとつだ。iPodを入り口に、本製品でホビーとしてのオーディオの世界を垣間見るのも楽しいと思う。
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