早いもので今年も8月。夏ボーナス商戦もほぼ終了したようで、家電量販店もこれまでの薄型テレビ一辺倒ではなく、エアコンをはじめとした季節商品や夏レジャー向け製品などのPRに力を入れているようだ。
AV機器の商戦期という観点から言えば、次に来る大きな商戦期は冬ボーナス時期ということになるが、このタイミングで今年上半期にどんな製品が売れたのかを知っておくのもいいだろう。GfK Japanによる全国3500店舗の量販店POSデータによる、各AV製品の販売数量別ランキングを紹介する。
ポータブルオーディオのランキングは予想通り。1位はジョブズ氏曰く「大胆なほどスリムなプレーヤー」であるiPod nano。iPodシリーズが高い支持を得ていることがはっきりした。現在販売されているシリーズ製品はiPod shuffleが2製品(512Mバイト/1Gバイト)、iPod nanoが3製品(1G/2G/4Gバイト)、iPodが3製品(30G/60Gバイト/30Gバイト U2 Special Edition)と合計8製品だが、そのうち5製品がランクインしている。
iPod nano 1Gバイト(直販価格1万7800円)と価格帯がバッティングするiPod shuffle 1Gバイト(直販価格1万1900円)、1Gバイトあたり780円と価格容量比に優れるものの単価の高いiPod 60Gバイト(直販価格4万6800円)はそれほどの支持を得ることができなかったようだ。
シェア奪還を狙う筆頭はやはりソニーのウォークマンシリーズ。フラッシュメモリタイプのNW-E405/NW-A605/NW-A607と3製品がランクインしているものの、ウォークマンにとっては目玉機能のハズであるインテリジェント機能をフル搭載したHDDタイプはランクインせず。ウォークマン勢で最高位に食い込んだNW-E405はインテリジェント機能を全く搭載しないタイプなのは、皮肉といえば皮肉だ。
ウォークマンが伸び悩んだ理由については、Aシリーズの添付ソフト「Connect Player」の不具合も原因のひとつと想像できるが、ソニーが主力製品をHDDタイプとしたこともその理由に挙げられるだろう。
iPodを見ても分かるよう、市場全体としては価格容量比に優れるHDDタイプよりも、小型軽量化さと低価格が特徴のフラッシュメモリタイプに人気が集まる傾向にある。下半期もこの傾向は変わらないと思われるだけに、アップル以外のメーカーがどのような製品で対抗してくるかは非常に興味深いところだ。
上半期のトップセラーはカシオ計算機のEXILIM「EX-Z600」。広角/超望遠レンズや防水機能といった強烈な個性を持つ訳ではないが、600万画素CCD/光学3倍ズーム/2.7インチの背面液晶/約550枚の撮影可能枚数といった人気の要素をコンパクトなカード型ボディにまとめた、バランスの取れた製品になっているのが人気の秘密。
とはいえ、EX-Z600が備えている各種の機能は、ランクインしている製品ならば大なり小なり備えている。ソニーの「DSC-T9」や松下電器産業の「DMC-FX9」などはEX-Z600の備えていない光学式手ブレ補正機能も搭載(EX-Z600は「アンチシェイクDSP」による電子処理でブレに対応する)するし、富士写真フイルムの「FinePix Z2」はISO 1600という類を見ない高感度撮影モードを備えている。しかし、価格も含めた総合的なバランスでEX-Z600に軍配が上がったといえる。
2位の松下電器産業「DMC-FX01」にも注目したい。「ブレないデジカメ」をキャッチフレーズに人気を博してきたLUMIXシリーズに、F2.8/28ミリ広角レンズという新提案をひっさげて加わった機種だ。3月発売と集計上はやや不利なタイミングで市場に登場したが、高い人気を得たようだ。
DMC-FX01には、CCDに7メガにグレードアップした後継機種「DMC-FX07」が既に発表されており、8月下旬には販売も開始される。もちろん28ミリからの広角レンズをはじめとした前モデルの特徴はすべて継承される。「広角レンズ」を新たなトレンドとして定着させることはできるのだろうか?
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