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アニメのように動くホログラム――大日本印刷

» 2006年08月30日 13時10分 公開
[ITmedia]

 大日本印刷(DNP)は、リアルな立体画像がアニメーションのように動いて見える新型ホログラム『モーションイマージュ』を開発し、9月1日からブランド商品の模倣品対策向けセキュリティー商品として販売を開始する。

 近年、金券類やクレジットカード、身分証明書などの偽造や、医薬品、自動車部品、アパレル、アクセサリー、化粧品、電機製品、雑貨などのブランド商品の模倣被害が拡大しており、各社ともその対策に力を入れている。ホログラムも、製造に特殊な装置・技術を必要とすることから、有効な偽造防止技術の1つとして、クレジットカードや金券類、商品用ブランド保護シールなどに採用されている。

 ただ、一般に使われているエンボスホログラムで絵柄が単純なものについては、一部で偽造品も出回るようになってきた。こうした偽造ホログラムは、正規品と見比べれば本物かどうか判別できるものの、店頭などにおいては、見逃されてしまうケースも発生している。

 こうしたことから、従来品より偽造が困難であり、また、店頭などにおいて一目で真贋判

定を行うことができ、かつ、正規品の特徴を店員などに言葉で伝えやすいホログラムが求められるようになっている。今回のモーションイマージュはこうした需要に応える製品として開発された。

モーションイマージュ

 モーションイマージュは「リップマンホログラム」といわれるホログラムの1種で、フィルム上に塗布した特殊なフォトポリマー層内部の密度を変化させることにより、サブミクロン単位で屈折率を変化させ、光の回折現象を起こすもの。立体感や遠近感のある表現が可能で、上下または左右に視点を移動させたときに、異なる画像に切り替えて表示することにより、リアルな3次元画像がアニメーションのように動いて見える。このため一目で本物かどうかが判別可能だ。

 また複数の模型を撮影し、その撮影データを一枚の特殊材料上に記録して製造するため、エンボスホログラムに比べ、意匠性が高く、模型作製、撮影、露光などに高度な技術が必要で、複製工程にも特殊設備が必要なことから偽造も極めて困難だ。

 ただ、画面切り替え型リップマンホログラムは、技術的な難易度が高く、コストが高くなってしまったが、今回、DNPは、模型の撮影から複製用ホログラム原版作製までを自動的に行える装置を自社で新たに開発し、従来、手作業で行っていた工程を自動化することにより、コストを引き下げるとともに多品種・量産への対応を可能とした。モーションイマージュの価格は、形状:15×15ミリ、数量が200万枚、裏面粘着加工を行ったラベルタイプで、1枚約5円という。同社では今後3年間で10億円の売り上げを見込んでいる。

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