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「40型以上で1年は先行できる」――シャープ

» 2006年08月31日 19時24分 公開
[ITmedia]

 既報の通り、シャープは初の“亀山第2工場モデル”を発表した。同社AV・大型液晶事業統括兼AVシステム事業本部長の片山幹雄氏は、今回の発表が世界同時に行われたことを明らかにするとともに、新工場の稼働で加速する同社の世界戦略を説明した。

photo シャープAV・大型液晶事業統括兼AVシステム事業本部長の片山幹雄氏

 亀山第2工場は、当初10月としていた予定を約2カ月前倒しし、8月に稼働を始めた。2.1メートル×2.4メートルの第8世代マザーガラスを初めて採用し、40型/50型といった大型液晶パネルを中心に製造する。1枚のマザーガラスから、40型クラスなら8枚、50型クラスでも6枚取れる「世界で最も効率のいいマザーガラスだ」(片山氏)。

 シャープが掲げる“大型液晶パネルの安定供給体制”の中核を担い、生産能力は2007年3月までに月産3万枚、2008年中には9万枚(いずれも32型換算)を目指す。「他社に先駆けて第8世代マザーガラスを採用できた。40型以上の液晶パネルでは他社に1年以上は先行できるだろう」。

photophoto 亀山第2工場の生産能力(目標)と世界市場における画面サイズのトレンド

 また同社は、世界戦略の一環として、亀山第2の稼働を機にバックライト取付などを含む液晶モジュール生産を消費地近くで行う「世界5極生産体制」の構築を挙げている。これまでは中国やマレーシアだけで行っていた液晶モジュールの生産を米国や欧州でも行い、輸送コストを抑える。コスト競争力を持った生産および物流体制を整えるのが目的だ。たとえばメキシコ工場では今年9月から開始、またポーランドでは2007年1月に液晶モジュール専用工場を稼働させる予定だ。

 片山氏は、北京五輪までに全世界の液晶テレビ需要は8000万台程度まで増えると予測。同時に「これまでは、10〜20インチクラスと30インチクラスの需要が高かったが、デジタル放送の進展に伴い、50インチクラスの大画面テレビ市場が形成されていくだろう」と指摘する。同社では2006年末までに37型以上はすべてフルハイビジョンタイプにするほか、従来は32型中心のラインアップだった海外向けの製品についても、亀山第2工場で生産する40〜50型といった大型の製品に軸足を移す構えだ。

 「従来のラインアップでは、40型以上が中心の海外の販売店ではシャープ製品が目立たなかった。今後は40型、50型といった大型商品を揃え、売り場で存在感を示していきたい」。

photo 新製品は世界同時発売となるが、地域ごとにデザインを変更する。欧米向けの製品は、写真のように光沢のある外装を採用した。たしかに売り場で目立ちそう

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