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DIGAヘヴィユーザーの憂鬱小寺信良(1/4 ページ)

» 2006年09月11日 05時35分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 DVD/HDDレコーダーのシェアは、松下電器の垂直立ち上げの効果が現れ始めた2004年あたりからPanasonic DIGAシリーズがトップとなっている。2005年度の調査資料では、1位 松下電器産業、2位 ソニー、3位 東芝、4位 シャープ、5位 パイオニア、6位 三菱電機である。短期的データではいろいろなモデルがトップに立つが、通年のデータだとやはりDIGAが強いようだ。

 長年DVD/HDDレコーダの変遷を見ていると、最近のDIGAは日本固有のボーナス商戦といった新製品が混み合う時期をあまり意識せず、新製品を投入してくるという特徴がある。むしろオリンピックやワールドカップといった、世界のタイミングに合わせたリリースが目立つ。

 ボーナスシーズンには、他社が単価と利益率の高い新製品で勝負するのに対し、DIGAはその商戦のトレンドから若干外れるものの、価格がこなれて買いやすい状態になっている、という売り方である。また他社にはあまり見られない販売形態として、AEONグループやイトーヨーカドーなどの総合スーパーで特設会場を設け、箱を大量に山積みして5万円でおつりが来る価格で売りさばくなど、量販の手法に長けている。

 一方でユーザー像を考えてみると、東芝RDやVARDIAなどは使い勝手の面、特に操作性ではなく機能面にこだわる人物像が見えてくる。だがDIGAの場合、販売戦略から見えてくるユーザー像は、AV機器に対してこまめに情報を追いかけていく層ではなく、安いなら欲しいといった純粋に生活家電レベルでレコーダーを見ているライトユーザーであることが想像される。そしてもちろんこの層が、もっとも数がさばける層なのである。

 DIGAのヘヴィユーザーというのはあり得ないのではないかというのが、筆者の予想であった。現に東芝のRDならディープな話がいくらでも出てくるのだが、DIGAでディープな話というのは、まず聞くことはない。だがよくよく聞いてみると、案外身近なところにヘヴィユーザーが居ると言うことがわかった。

 今回はPanasonic製品ばかり連続6台購入、現在も3台が昼夜稼働中という、あるヘヴィユーザーの話である。

レコーダーは年1台

 ご本人の希望により実名は控えさせていただくが、実はこの方、音楽配信系ジャーナリスト 津田大介氏の奥様である。以前津田氏にお会いしたときに、音楽プレーヤーの話からレコーダーの話になったわけだが、実は奥様がものすごい映像コレクターであることが発覚した。津田氏が「あのPVないかなぁ」と聞くと、膨大なDVDライブラリの中からほぼ瞬時に「これ」と抜き出してくるのだという。

 出版社にお勤めの奥様に、お話を伺った。

 「最初の頃はVHSデッキを2台使って、録画番組をダビングしてまとめてたんです。妹が米国に行ってるんですけど、日本の番組を録画して送ってあげるのに3倍モードだと送料がお得だけど、画質が落ちるし困ったねと思っていたら、当時まだ結婚してなかった津田にこういうものがあるよと勧められて。最初のデッキはDMR-HS1で、それが主人からの誕生日プレゼントでした」

 女性の誕生日プレゼントでレコーダーってのはアリらしいので、参考にしていただきたい。いやそれはそれとして、「DMR-HS1」は2001年に発売されたモデルで、当時はまだDIGAというブランドは立ち上がっておらず、「DREAM」という愛称で呼ばれていたシリーズである。

 それ以降購入したDVD/HDDレコーダーは順に、DMR-HS2(02年発売)、DMR-E200H(03年発売)、DMR-E500H(04年発売)、DMR-EH73V(05年発売)、DMR-EH55(06年発売)。現在稼働しているのは、E500H以降の3台である。01年に購入以降ほぼ毎年1台購入し続けていることになる。そしてこれは同時に、故障歴にもつながる。

常時稼働機器はE500H(中段中央)、EH73V(下段右上)、EH55(下段中央)

 「HS1は、まずリモコンが壊れました。本体は使えたんで、今は実家のほうでDVDプレーヤーとして余生を過ごしています。HS2は、DVDドライブのトレイが入らなくなって。私テレビを叩いて治す派なので(笑)、叩くととりあえず直るんで、だましだまし使ってたんです。でもそれもだんだん疲れて来ちゃったんで、主人の会社の方にあげました」

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