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DIGAヘヴィユーザーの憂鬱小寺信良(4/4 ページ)

» 2006年09月11日 05時35分 公開
[小寺信良,ITmedia]
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 「録画番組表示も、E200Hが良かったですね。今のモデルで一番困ったのは、録画リストの幅が狭くて、余分な情報が多すぎること。日付が出て曜日が出てチャンネルが出てというのがデフォルトで、番組タイトル名が短くて、自分でも何がなんだかわかんないんですよ。E200Hではそういうことにはならなかった」

 「年々機能はよくなってると思うんですけど、73VとEH55のリモコンは最悪。タイトル入力は数字キーでやるんですけど、数字キーが蓋の中にあって、もういちいち蓋あけるのがイライラします。絶対あの蓋は遠からず壊れると思う」

 番組名の入力は、EPGから予約すれば自動で入力される。だが予約数が多くて数番組を縦にまとめて録画したときは、番組分割したあとタイトルを入力しなければならない。機能を平均値で合わせこんでいくと、へヴィユーザーは仕様から押し出されてしまう。

 「一番できるといいなと思うのは、SPで録画したものをFRで変換保存するときにも、予約録画が実行できること。高速ダビング中に録画ができたところで、せいぜい20分ぐらいのことなんで、全然ロスじゃないんですよ。そうじゃなく、変換しながらオンタイムでダビングしなきゃいけない場合は、大抵2時間3時間かかるものなので、そのときに予約録画できたほうがよっぽどありがたいです」

 これだけ大量に映像を扱うユーザーで、デジタル放送対応機が1台もないというのは珍しいだろう。デジタル放送に対してはどのように感じているのだろうか。

 「まったく興味ないですね。メディアに書き出した後で再編集できないですから。実はEH55を買うときに、デジタル放送対応の上位モデルを勧められたんです。でも待てよと。過去の経験からすると、レコーダーって1年程度しかもたないんですよ。だったら半額のEH55でいいかなって」

 先日総務省が、コピーワンスの撤廃とEPN方式への転換を要請するという方向性を打ち出した。コピーワンスの存在が、デジタル放送普及の足かせになっているという論理である。

 この事例は、著作権法で許された個人的な複製の範囲内で利用しているだけであるにもかかわらず、コピーワンスによる制限が不便であるということから、デジタル放送への乗り換えを拒否している1つの実例であるとも言える。

 堅牢性については、筆者は仕事柄、これまで発売されたレコーダーはほとんどテストしてきたが、個人で使用しているレコーダーは毎日毎日スタンバイになる間もなく稼働しているという状態ではない。だが実際にへヴィなユーザーにとってDVD/HDDレコーダーというのは、実はかなり脆弱な装置なのかもしれない。

 これがPCであれば、RAIDやバックアップシステムなどで冗長性を持たせるものだが、レコーダーでそういう例は聞かない。だが大事なデータを失うリスクというのは、PCもレコーダーも変わらない。レコーダーも中身は次第にPCに近づいて来ているが、似て非なるもののであると同時に、同じリスクを背負うものであるという意識を持ち続けるのは重要だ。

 へヴィユーザーとは、レコーダーの機能を隅々まで使いこなすユーザーという風に思われがちだが、実際には同じ作業を執拗に繰り返すということなのである。このあたりにも、未来のレコーダという装置のあり方のヒントが隠されているような気がする。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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