(C)かもめ商会 PHOTO 高橋ヨーコ |
群ようこが書き下ろした小説を、荻上直子監督が映画化した「かもめ食堂」は、今年3月にシネスイッチ銀座ほか全国100館で公開され、興収5億円のヒットとなった。
ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」(ruokala lokki)。日本人のサチエがオープンしたこの食堂には、全くお客さんが来る気配がなかった。近所のおばさんたちも店をガラス越しにのぞきこみ、毎日のように噂話をするばかりで、店に入ろうとはしない。
そんなある日、ついにお客さんがやって来る。彼は日本のコミックやアニメが大好きなフィンランドのオタク青年だ。記念すべきお客さん第1号として、永遠にコーヒーの無料券をプレゼントされる。彼はサチエに「ガッチャマン」の歌詞をたずねるが、出だししか思い出せない。
その日の夕方、サチエは書店のカフェで、旅行者らしき日本人の女性を見かけ、思わず「ガッチャマン」の歌詞を聞くと、スラスラと教えてくれた。彼女の名前はミドリ。フィンランドに来たのは世界地図を指したら、たまたまフィンラドに当たったから。サチエはミドリを自宅に招待し、いつしか彼女は食堂を手伝うようになる。
そして、またひとり訳ありげな女性、マサコが「かもめ食堂」を訪れて……。
監督は「バーバー吉野」「恋は五・七・五!」など、オフビートな作品で人気の高い荻上直子。オール・フィンランド・ロケを敢行し、撮影、照明などの現場スタッフはフィンランドの映画スタッフが担当している。
登場人物のバックグラウンドが説明されるわけでもなく、事件が起こるわけでもない。ただ日常を淡々と描いているだけなのに、妙に気持ちが安らぎ、どのエピソードにも“味”が滲み出ているから不思議だ。フィンランドの街並みがそうさせているのかもしれない。
小林聡美、もたいまさこ、片桐はいりら独特の間をもった女優たちの肩の抜けた演技も素晴らしい。オタク青年、コーヒーを愛してやまない男、噂好きの中年おばさんたち、夫に蒸発された女性など、ヘルシンキの人たちも魅力的。
観終わった後は、おにぎり、シナモン・ロール、豚の生姜焼き、豚カツ、肉じゃが、シャケ定食が食べたくなる。これ、「かもめ食堂」の看板メニューです。おいしい食事と、人と人との交流をくつろぎながら楽しみましょう。かもめ食堂の面々が、「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えてくれますよ。
特典ディスクの「猫と歩くヘルシンキ」ではメイキング映像に加え、ロケ地になった店や場所を地元の人々と触れあいながら紹介。初回生産分のみ、荻上監督と小林聡美が再タッグを組む次回作「めがね」の特報を収録した特典ディスクがもう1枚つく。さらにオリジナルステッカーも封入。
関連サイト:http://www.kamome-movie.com/(公式サイト)
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