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40万円台のフルHDプロジェクター「TH-AE1000」を観察してきたA&Vフェスタ2006

» 2006年09月21日 16時21分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 AVファン待望の専門展示会「A&Vフェスタ2006」が9月21日にパシフィコ横浜で開幕した。A&Vフェスタといえば、新製品をチェックできるのが醍醐味。パナソニックブースでは、21日の午前中に発表したばかりのフルハイビジョン対応液晶プロジェクター「TH-AE1000」をさっそく展示している。

photophoto フルハイビジョン対応液晶プロジェクター「TH-AE1000」。A&Vフェスタの開幕と同時に発表された

 TH-AE1000は、セイコーエプソン製の高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)「C2FINE」を採用し、1920×1080ピクセルのフルハイビジョン対応(207万画素)ながら、実売45万円前後というコストパフォーマンスの高さが魅力だ。また、デジタルカメラ「LUMIX」で培った大口径ガラス非球面レンズの技術(LUMIXのレンズと同じ工場で製造するという)や可変型アイリス機構、最大14ビットのデジタル信号処理を行う新しい「シネマワークスプロ」などとあわせ、「業界最高のハイコントラスト11000:1とディティール豊かな“フルハイビジョン ハリウッド画質”を実現した」(同社)。

 詳しい仕様に関しては発表記事を参照していただくとして、せっかく現物が目の前にあるので、外観をチェックしてみた。

 ブラックの筐体は奥行きを極力とらない“横長スタイル”だ。レンズはセンター、左右に吸気口を備えるシンメトリックなデザインとした。2系統のHDMIを含むインタフェース類は背面にあり、別売のケーブルカバー(TY-PKE1000)を装着すると、さらにスクエアなデザインになる。本体操作部は側面カバーの中だ。

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 ユニークなのは、上面にある2つのダイヤルだ。これはレンズシフトを調整するもの。くるくる回しながら垂直方向と水平方向の微調整が行える。「レンズシフト可動範囲は、水平方向が最大で投射画面サイズの約40%、垂直方向は最大で約100%。従来機のTH-AE900に比べて大幅に拡大している」。

 付属のリモコンは、基本デザインこそ従来機のものと変わらないが、学習機能にくわえ、新たにマクロをサポートした。最大16ステップのマクロを6つまで登録でき、ディレイ設定も可能。電動スクリーンが降りてくる時間やプロジェクターの暖機など、ホームシアターならではの時間差も問題ない。

 機能面で注目したいのが、プロ用機材を思わせる「波形モニター」だ。こちらは、表示中の映像をリアルタイムに解析し、入力信号の輝度レベルデータを視覚化するというもの。波形の形を確認しながら、基準となる黒レベルや白レベルを「ピクチャー」「黒レベル」といった設定メニューから調整できる。基準をしっかり合わせることで、プロジェクターの持つコントラスト性能をフルに活用できるという。

photophoto 水平方向の輝度信号成分を全ライン分画面上に表示(左)。任意の水平方向の輝度信号成分を表示することもできる。上の波形は、画面中央にある横線の場所を表示したもの。操作していると、なんだか映像のプロみたいな気分になってくる

 もちろん、画面には格子状の画素が見えない「スムーススクリーン」は健在。さらに光源であるUHMランプのスペクトルを、画づくりに最適化するため「シネマフィルタープロ」と呼ばれる新しい光学フィルターを組み込んだ。「一層沈んだ黒とクリアな色表現が可能。従来機では難しかった“青空”の表現などシアン系色の表現力が大きく向上している」という。

 映像モードは「シネマ1/2」「カラー1/2」「シネマ3」「ノーマル」「ダイナミック」の7つ。このうち「シネマ1/2」および「カラー1/2」を選択するとシネマフィルターがオンになる。このほか、画質のユーザー設定は最大5つまでメモリー可能になった(AE900は3つ)。

 デモンストレーションでは、120インチのスクリーンを使い、フルHDのデモ映像や映画を投影している。コアデバイスである「C2FINE」が未だ試作品ということで画質評価は難しいが、フルハイビジョンプロジェクターの購入を検討している人は要チェックだろう。

photophoto パナソニックブースでは、「ブルーレイDIGA」や103インチプラズマの“壁テレビ”など、発表したばかりの製品が勢揃い。右はIEEE 802.11無線LAN(2.4GHz)を使用するワイヤレスサラウンドヘッドフォン「RP-WF6000T」。すぐにでも発売されそうな完成度

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