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インテリアに溶け込むiPodスピーカー、「MusicMug」

» 2006年09月25日 17時22分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 「MusicMug」

 音楽を聴く際の“気分”は、時と場合によって変化するものだ。スピーカーと向き合って曲や音を吟味するときもあるが、BGM的に“なんとなく流れている”のが心地良いときもある。イデア インターナショナルの「MugicMug」は、リラックスタイムを何気なく演出してくれるカジュアルなiPod用スピーカーだ。

 外観はどこにでもありそうな陶器製のマグカップ。iPodを無造作に突っ込んだだけのように見え、それがテーブルの上にあってもスピーカーであることはわからない。インテリアに馴染む――というより、当然のように溶け込み、逆にiPodの存在感すら薄めるようだ。自己主張の強い、ほかのスピーカーシステムとは全く違うアプローチ。

 MusicMugを持ち上げてみると、音の出所が分かる。底面に5センチほどのモノラルスピーカーが組み込まれ、マグの内側に出ているケーブルがiPodのイヤフォンジャックに繋がっている。アンプは内蔵していないから、電源コードや乾電池も必要ない。イヤフォンの出力をそのままスピーカーに繋ぐ、ごくごく単純な作りだ。だから使う場所は選ばない。自室でも、キッチンでも、ベランダや庭のテーブルでも、iPodにケーブルを繋ぎさえすれば音が流れ出す。

photo 外形寸法は、80(直径)×115(高さ)ミリ。重量は500グラム。マグの内側に出ているケーブルをiPodのイヤフォンジャックに繋げるだけ

 MusicMugのデザインとプロデュースを担当したのは、イデア インターナショナル商品企画部の得能正人チーフデザイナーだ。普段からiPodを使っているという得能氏は、iPod用スピーカーが“持ち運びにくい”ことが気になっていたと話す。「ステレオのスピーカーは、両手を使わないと動かせない。そこで、片手でひょいっと手軽に移動できるものを作りたかったんです」。

 ベースになる素材は、手近なところで見つけた。「一番身近にあって、手軽なもの、インテリアに馴染むもの。手元にあったコーヒーカップを見て、これなら丁度いいと感じました」。ちなみにMusicMugのサイズは、そのとき手元にあったコーヒーカップと同じだという。ただし、取っ手は「持ち運ぶとき、持つ場所を意識せずに済むように」付けなかった。「あと、間違えてコーヒーを入れてしまわないように、という配慮もあります」。

photo 得能正人氏。守備範囲は広く、インテリア家具から商品パッケージまで扱う。MusicMugでは商品パッケージなどのデザインも担当した

 利便性とデザインが出発点だけに、音質に関しては最初からある程度割りきっていた。スピーカーユニットは国内大手メーカーにもOEM供給している台湾メーカーの製品で、アンプがないことやユニットサイズを考えれば、まず納得のいく音質だ。ただし、ユニットが下を向いているため、少しこもって聞こえる点は否めない。むしろ、木製のテーブルや金属製の棚など、設置場所による微妙な音の違いを楽しむくらいの遊び心で接したいスピーカーといえる。

 「音自体にこだわる人は、これとは別に大きなスピーカーを持っているでしょうから、最初から割りきって考えました。カジュアルに音楽を楽しめればいい。まずは、店頭で実際に音を聞いてみてほしいですね」。

 企画から実際の商品が店頭に並ぶまで、およそ一年間。その間、製造を依頼していた陶器メーカーが倒産するなどのアクシデントもありながら、MusicMugは形になった。ボディカラーはブラックとホワイトの2色。先代の「iPod nano」を意識したのはもちろんだが、「カラーバリエーションは両極端にしたい」という狙いもあった。実際に入れてみると、白いMusicMugに黒いiPodがよく似合っていたりする。

 MusicMugの価格は3990円。現在は表参道ヒルズ地下2階にある同社の直営店舗のほか、デザイン小物を扱う一部ECサイトで販売している。購入者は20歳代の若者が中心で、「実際に販売してみると、予想外にギフト需要が多かった」という。

 「気軽に使ってもらえればいいと思います。テラスでもソファーでも、リラックスしながら、ティータイムを楽しむように自分の好きな音楽を楽しんでもらえればいいですね」。

 洒落てるけど気取らない。ユニークだけど主張しない。「MusicMug」は、そんなiPodスピーカーだ。

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