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第4回「大画面だからこそ重視したい“テレビのデザイン”」薄型テレビの賢い選び方

» 2006年09月27日 16時23分 公開
[ITmedia]
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第3回「そのテレビに未来の拡張性はありますか?」

次世代DVD、ネットワーク家電、次世代ゲーム機、メディアサーバ……。テレビにつながる機器はますます増えていく。“賢いテレビ選びのコツ”を紹介する連載の第3弾は、将来の拡張性にしっかりと対応したテレビ選び方を探る。


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第2回「テレビ購入時に必要な3つの要素」

“賢いテレビ選びのコツ”を紹介する連載の第2弾。テレビを構成する要素は数あれど、購入時の判断に必要な要素として「映像処理回路」「パネル」「チューナー」の3つに注目したい。


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第1回「いまこそ買い時! 薄型テレビ選びのコツ」

値ごろ感が高まった薄型テレビ。もはや“買うべきか、買わざるべきか”の時期は過ぎている! だが薄型テレビは多種多様で、選び方もブラウン管とは大きく違う。新時代における“賢いテレビ選びのコツ”を連載で紹介する。



サイドか、それともアンダーか。テレビの顔を決めるスピーカーの位置

 テレビを購入する際には、デザインも重要な要素であることは間違いないのだが、いざテレビのデザインを語れと言われると、なかなか困ってしまう。ただ、最も基本的な部分を挙げるとすれば、スピーカーの位置ということになるだろうか。PC用ディスプレイとは異なり、家庭用テレビの場合はほとんどの製品がスピーカーを内蔵している。

 一般的にスピーカーの位置は、アンダーもしくはサイドとなる。両者の違いは、スピーカーの左右チャンネルの間隔による音響(主に音の広がり)はもちろん、見た目のデザインにも大きな差をもたらす。最近の製品を見渡すと、どうやらアンダーを採用するケースが多いようだが、本体横幅を最小限に抑えられるからであろうか。その分、一定の高さは追加されるが、いずれにせよスタンドを使用するため、さほど気にすることはないというわけだ。

 ただ、それ以上に、アンダースピーカーを採用した製品のほうが、スピーカーの存在を感じにくく、見た目の重心も低いため、“落ち着いた印象に感じられる”ことも人気の要因ではなかろうか。それを顕著な形として発展させたのがEIZOの液晶テレビ「FORIS.TV」ともいえ、スピーカーとスタンド込みで、テレビのトータルデザインを提案した“SCシリーズ”を送り出している。

 また、シャープの液晶テレビ「AQUOS」では、(主力製品に関しては)全モデルにおいてスピーカーの位置をアンダーとサイドから選べるよう、2タイプずつ用意している。たとえば、「LC-42GX1W」「LC-42GX2W」のように、アンダースピーカータイプであれば型番に「1」、サイドスピーカーであれば「2」がつく。売り上げランキングなどを見ても、やはり「1」のほうが人気が高く、(機種にもよるが)同一モデルの「2」の倍ほどの売り上げ比率になっているようだ。

photo サムスンの液晶テレビ「Bordeaux」シリーズの“Hidden Speaker System”。スピーカーは本体のベゼル部分に内蔵。音は下に向けて出力し、インディゴブルーの反射板にあてて前方へ送り出す

 さらに、いずれのスピーカー配置にせよ、存在を感じにくいレベルにとどまらず、“存在を消す”方向へと進みつつあるようだ。たとえば、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA X2500」では、ベゼルを取り囲むように透明のアクリルパーツを配し、映像の浮遊感を演出するフローティングデザインを採用した。一見すると、スピーカーレスかと思わせるデザインだ。さらに、サムスンの液晶テレビ「Bordeaux」シリーズでは、その名もずばり、“Hidden Speaker System”を採用。スピーカーユニットが本体内部へと隠されており、全体にシンプルなデザインを追求している。

テレビ本体以上に、デザインを左右するともいえる“スタンド”

 大画面テレビにおいては、各社ともオプションの専用台を用意している。もちろん、専用台との組み合わせが必須というわけではないが、ユーザーが適当な台を使用した場合、耐加重が十分に確保できないケースもありうるため、こうした専用台やスタンドを提供しているのだろう。またテレビ本体だけでは、デザインで差別化といっても限界があり、専用台のデザインに工夫を凝らし、テレビと組み合わせた際の独自性を打ち出すことで、差別化を図りたいというメーカーも多いに違いない。

 たとえば、松下電器産業の液晶/プラズマテレビ「VIERA」では、弧を描いて迫り上がっていく曲線を基調とした専用台をオプションで用意しており、本体と組み合わせることで、(これまた)「映像だけがあたかも浮いているようなフローティングスクリーンコンセプトを実現」できるという。

photo 松下「VIERA」の曲線を基調とした専用台(左)と東芝「REGZA」。どちらも“映像(画面)が主役”というスタンスで、フレームや専用台が目立たない工夫をしている

 このように、さまざまな観点で各社の製品や取り組みを眺めていくと、(少なくともメーカーの考える)テレビのデザインにおける本質とは結局、“あまり存在を主張しないこと”なのだと捉えられる。ここで挙げた例ばかりでなく、東芝の液晶テレビ「REGZA」のカタログのように、映像に集中するため、あるいは、インテリアとの調和を実現すべく、存在感を抑えたことを謳っている製品は少なくない。

photo 「BRAVIA X2500」のカラーバリエーションは、ブラック、シルバー、ホワイト、ブラウン、ブルー、レッドの6色。標準色のブラックとシルバー以外は受注生産となる

 また、前述の「BRAVIA X2500」が提案しているように、カラーバリエーションというのも、単に本体へ個性を持たせるだけでなく、むしろ、部屋の基調色との統一を可能にすることで“埋もれさせる”意味合いのほうが大きいのかもしれない。

 以下は余談になるかもしれないが、ほかに設置に関わる機能なども、広い意味ではデザインに関係する要素と捉えられる。たとえば、日本ビクターのプロジェクションテレビ「BIG SCREEN EXE」では、各モデルともセンターチャンネル入力端子を装備している点が特徴だ。サラウンド音響を前提としたホームシアター環境を構築したい場合、大型のプロジェクションテレビとの組み合わせでは、センタースピーカーの置き場所に苦労する可能性もある。内蔵スピーカーをセンターチャンネルに利用できれば、それを解消するとともに、部屋のトータルデザインも、よりシンプルに考えられるというわけだ。

 プロジェクションテレビについては、購入者が「液晶か、プラズマか、それとも……」と悩むよりは、最初から購入対象として絞り込んでいるケースが多いと思われるため、この連載ではあまり触れなかった。しかし、50型超の製品を探している人にとっては、有力な選択肢となりつつあることは間違いない。

 この「BIG SCREEN EXE」の最大のライバルは、ソニーの新型SXRDプロジェクションテレビ「BRAVIA A2500」となるだろう。両者を比較すると、HDMIが1080p対応で、しかも3基も装備した「BRAVIA A2500」を選ぶか、それとも、コストパフォーマンスがやや高く、さらにi.Linkも残している「BIG SCREEN EXE」かと悩む。しかし、ユーザーの設置環境によっては、センターチャンネル入力端子の有無が“重要なデザイン要素”となり、製品選択に重大な影響を与えるケースも、少なからずあるかもしれないのだ。

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「薄型テレビの賢い選び方」特集ページ

放送のデジタル化、液晶/プラズマなど薄型ディスプレイの台頭、ハイビジョンの普及など、テレビを取り巻く環境はここ数年で大きく変わった。テレビ製品の選び方も、ブラウン管時代とは大きく違ってきている。新時代における賢いテレビ選びのコツとは?


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