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ビクター、「超薄型・壁ピタ」を可能にするリアプロ用光学エンジン

» 2006年09月28日 15時59分 公開
[ITmedia]

 日本ビクターは9月28日、リアプロジェクションテレビの奥行きを大幅に縮小可能な映像投射システム「スリムファンクション光学エンジン」を開発したと発表した。従来比で約4割の薄型化が可能になるほか、放熱穴を側面に配置したことで、壁に密着して設置する「壁ピタ」設置も可能となった。

photo スリムファンクション光学エンジン
photo 新エンジン搭載の58V型リアプロジェクションテレビ(試作機)

 リアプロジェクションテレビは光学エンジンを本体下部に配置し、投映光を背面ミラーに投射した後にスクリーンに映し出すという構造上、薄型化が難しいといわれてきた。これまでにも光学エンジンをオフセット配置したり、凸面ミラーを利用するなどの手段で薄型化が行われてきたが、「インチあたり価格や明るさには優れるが、奥行きについては液晶/プラズマに対して改善の余地があると考えていた」(同社 専務取締役 技術開発本部長 山口南海夫氏)という状況だった。

 新開発された「スリムファンクション光学エンジン」は、光学ユニット自体の小型化を進め、なおかつ、凹面ミラーを採用することでシステム全体の薄型化を実現した。光射出部の穴を小さくできる凹面ミラーを採用したことで、不要な外光の遮断や、ホコリの侵入を防ぎ、結果としてよりコントラストの高い映像を映し出せるというメリットも生まれている。

photo 展示された試作機は58インチの画面サイズをもちながらも、奥行きは27センチ。現行の56インチ製品「HD-56MH700」の奥行きが43.4センチなので、その薄さが際だつ。
photo 黒いプラスチックにおおわれたのが凹面ミラー部分、右側はD-ILAを搭載した光学コア

 従来の投映システムに比べると凹面ミラーを新たに設置する必要があるものの、汎用スクリーンの利用や背面ミラーの小型化、投射レンズの設計見直しなどを同時に行うことによって、大幅なコスト増なしで製品へ搭載できるという。「凹面ミラーを追加しているが、トータルでのコスト増はわずかになると考えている」(山口氏)また、光学ユニットの再設計に従い、背面に端子板や吸排気口を設けないフラットな筐体設計が可能となった。

 現在はまだ技術発表段階で、具体的にどのような画面サイズの製品へこのデバイスを搭載するかなど詳細については未定だが、同社では2007年の早い時期に製品化、米国市場から投入していく考えだ。

photo 会場にはIFA 2006にて紹介された同社の「世界最大110型リアプロ」も展示

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