9月13日にiTunes 7が登場した。今回は、iTunesが登場以来というほどの大幅な変更が行われたのだけど、そのせいか最初のバージョンはちょっと安定していなかったようだ。しかし、その後にバージョン7.0.1が登場、安定してきたようだ。このiTunes 7で変わったところを調べてみよう。
iTunesが音楽ソフトである以上、今回最大の注目点はこれだ。
いままでのiTunesは複数のファイルを連続再生する場合、その継ぎ目にわずかだけどすき間(ギャップ)が開いてしまっていた。実はこれはiTunesに限った話ではない。MP3のような圧縮音声ファイルを再生する場合には、再生開始時にファイルへ埋め込まれた圧縮条件のデータを解釈する時間が必要になるからだ*1。
ライブアルバムやMixもの、あるいはクラシックやプログレなどのアルバムには、トラックとトラックがすき間なくつながっているものがよくある。そういうところは、たいてい緊張感が高まるようにできているので、そこですき間が空いてしまうとかなりしらけることになるのだ。ベートーヴェンの「運命」の第3楽章と第4楽章の間、あるいはビートルズのAbbey RoadのB面などは、ちょっとでもすき間が空いたら台無しだ。
iTunes 7は、この「台無し」をやっと解消したのだ。
iTunes7を最初に起動したとき、「ギャップレス・プレイバック情報を決定」のために、ライブラリに入っているすべてのファイルをスキャンする。
それぞれのファイルがギャップレス再生されるべきかどうかをチェックしているのだそうだ。これはちょっと時間がかかる。マシンのパワーにもよるのだが、わたしがiTunesサーバーに使っているiBook G3/800MHzでは*2、7500曲で30分かかった。
あとはなにもしなくていい。普通に再生すればギャップレスになっているのだ。
圧縮データはMP3でもAACでも問題ない。実は上のグラフはLAME 3.92でエンコードしたMP3データ(VBR 約170kbps)なのだけど、このようにiTunes以外でエンコードしたものでも平気だ。
iTunesの曲データの情報(プロパティ)には、「ギャップレスアルバムの一部にする」という項目がある。まぎらわしいのだけど、これはギャップレス再生そのものの設定ではない。ここにチェックをつけると、その曲に関してはクロスフェード再生が無効になるのだ。以前からiTunesには、曲の最後と次の曲の頭を少し重ねて再生させる「クロスフェード再生」機能があった。でも、ギャップレス再生が必要なような曲の場合、クロスフェードされてはかえって迷惑だ。そこで、このチェックがいきてくるというわけ。
ギャップレス再生は、iPodにも有効だ。新iPodはもちろん、旧iPod video(第5世代)、旧iPod nanoでも、ファームウェアをアップデートすればギャップレス再生に対応する。残念ながら、iPod Shuffleやそれ以前の機種ではだめなようだ。旧機種にも対応ファームウェアを出して欲しい。
*1foobar2000などは、早くからギャップレス再生を実現していた。
*2古いマシンをiTunes専用にしているのだ。USBが1.1なのがちょっと痛い。iPodがFireWireをサポートしているうちはなんにも問題なかったのに。
*32Mac OS Xで、再生中の音をそのままキャプチャするWireTapで録音。それをAmadeus IIでグラフにした。
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