ナチュラル・サウンドという極上の響き――ヤマハHi-Fiオーディオスピーカー「Soavo-1」インタビュー(2/3 ページ)

» 2006年10月02日 00時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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10年以上の時を経て生まれ変わったヤマハHi-Fiスピーカー

photo ヤマハ AV機器事業部 商品開発部 ハードウェア開発グループの岡崎浩二氏


――世の中には高価なスピーカーも溢れていますが、ヤマハブランドのスピーカーとしては、久々の高級製品。一度、ラインアップとして失われた価格クラスに再参入を果たしたことになりますが、なぜ今、このブランドが生まれたのでしょう。

岡崎氏: ご存知の通り、我々はこのところホームシアターに特化したスピーカーの開発に力を入れてきました。DVDを中心としたAV環境の整備、市場の成長とともにビジネスとしては成功しました。しかし、過去を振り返ってそうした製品は、良い音のスピーカーとしての評価を得ていません。結局、市場で評価されるのはHi-Fi系のスピーカーだけだったんです。

 ヤマハとしては1本10万円を超えるHi-Fiスピーカーは1993年のNS-7が最後で、現在は高級スピーカーメーカーとしてのイメージを失っています。だからこそ、きちんと市場で音楽を愛するユーザーに評価をしてもらえる。そういうスピーカーを、ヤマハのスピーカー部門として生み出したかったのです。

――作り手側から見たAV向けスピーカーとHi-Fi向けスピーカーの違いとは何でしょう?

岡崎氏: AV向けスピーカーは、大画面の生み出す圧倒的な絵の迫力に負けない音を作ることです。簡単に言えば、迫り来る目の前の迫力ある映像に対して、ドカーン、バカーンと効果音が圧倒的な量感をもって迫ってくる。前へ、前へと出てくる音作りです。もちろん、アクション映画ばかりが映画ではありませんが、もっとも分かり易い形でAVファンに理解してもらえるスピーカーを作ろうと思うと、どうしてもそうなってしまう。

 しかしHi-Fi向けスピーカーは、もっと繊細で音楽ソースの持つ魅力を引き出してあげなければなりません。たとえ2チャンネルであっても、厳密な位相の管理を行い、左右のステレオ感だけでなく、スピーカーよりもさらに外に広がり、かつ奥行きも感じられる音場が必要です。Hi-Fi系といっても地域ごとに様々な解釈があるのですが、ヤマハとして目指したのは欧州のスピーカーメーカーが得意とする、音像が定位している位置から奥にさらに広がる音場です。

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――いったんAV系サウンドでビジネス的に成功してしまうと、なかなかその方向転換はしにくいものです。大きな方向転換はどのようにして実行に移されたのでしょう?

岡崎氏: 決して降って湧いたように「明日からHi-Fiだ!」と目指したのではなく、以前からHi-Fi系スピーカーの開発は、製品化されなかっただけで続けていました。私自身、入社以来、ずっとAV向けスピーカーの音を作ってきましたが、やっと思うような製品を作れて喜んでいます。これはスピーカー開発者全員の想いでもありましたから。

 そうした想いがあった上で、市場も少しずつですが、Hi-Fiの方向に動いてきています。今回、新ブランドを作れたのも日本でHi-Fi市場の伸びがあったからこそです。加えて欧州はもともと2チャンネルオーディオ中心でした。

――ヤマハはずっと長い間、”ナチュラル・サウンド”というキーワードのもとに製品を作ってきました。ところが製品ごとにナチュラル・サウンドの解釈が違うのではと感じることも多い。では岡崎さんにとってのナチュラル・サウンドとはどんな音でしょう?

岡崎氏: これは実に個人的な意見ですが、”サウンド”という単語には、”音”だけではない”音楽性”といったニュアンスも含まれていると考えています。ナチュラルな音楽性、つまり音楽の持っている感情表現をありのまま、色づけなく出すこと。それがナチュラル・サウンドと解釈して音決めをしました。

 もう少し具体的な言葉に掘り下げてみますと、音楽ソースが持つありのままの情報を、高解像度に描き分け、微細な情報をも見通せるトランスペアレント性。それに低音が生み出す音場感を大切にしています。加えて“ディープステレオイメージ”と言いますが、奥行きを感じさせる音に仕上げたつもりです。

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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年11月1日