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32インチ“なら”フルHDのPDP、裸眼立体視カーナビ……パイオニアブースが面白いCEATEC JAPAN 2006

» 2006年10月04日 03時12分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パイオニアブースが面白い。フラグシッププラズマモニター「PDP-5000EX」を中心とする一連のAV新製品も見どころの一つだが、とにかくユニークな参考展示が多いというのが同社ブースの特徴だ。高コントラスト/高精細PDPやBlu-rayレコーダーといった定番のほか、裸眼立体視が可能なカーナビや車載ロボットなど、カロッツェリアから派生した(?)自動車関連の新技術に人垣ができている。

 まずは定番。BDレコーダーの試作機だ。BDレコーダー「BDR-1000」は、「構想段階のもので、デザインもフィックスしていない」というもので、スペックも自社製ドライブを使用するという点以外はまったく未定。ただ、同社のDVDレコーダーを彷彿とさせるデザインが「より製品に近い」印象を与える一方、色が微妙に異なるアクリル板を重ねてグラデーションを付けた前面パネルなどが“試作機ならでは”の贅沢な一面も見せている。

photophoto 色が微妙に異なるアクリル板を重ねてグラデーションを付けた前面パネルがユニーク

 ブース中央では「“Next Reference” 従来の画質の常識を超えた理想のフラット・パネル・ディスプレイ」というテーマによる技術展示で、2万:1という高コントラストを実現した新開発の60インチフルハイビジョンプラズマパネルを紹介。

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 従来の同社プラズマパネル(コントラスト1000:1)と比較して、暗部の沈み込みや色再現性の違いを比較デモしていた。「高純度クリスタル層による高発光効率化などで実現した技術。今後の当社プラズマテレビに応用していく。2008年の北京五輪までに実現したい」(ブース担当者)

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 次は、1150×540ピクセルの解像度を持つ18インチのPDP。画素ピッチ0.36×0.36ミリは「PDP-5000EXの約40%」という精細さで、フルハイビジョン解像度なら32インチ、4K2Kでも60インチに収まるという。実用化されれば、家庭にも置けるサイズの4K2Kディスプレイが出来上がるだけに注目が集まる。

photophoto 1150×540ピクセルの解像度を持つ18インチのPDP。縦に2つ並べると1080ラインになる

 輝度は600〜700カンデラとのことだが、コントラスト比などの詳細は発表前のため非公開。技術的には「新素材と新しい放電技術」がポイントで、放電遅れを従来の3分の1にまで短縮しているという。なお、同社はNHKなどと共同で0.3×0.3ミリのさらに微細なPDPを開発しているが、今回の展示は全く別に自社開発したものだ。

photophoto 「3Dフローティングビジョン」技術を応用した裸眼立体視カーナビ

 こちらは「3Dフローティングビジョン」技術を応用した裸眼立体視カーナビ。下のタッチパネルディスプレイで操作すると、目的の建物が目の前に浮かび上がり、くるくる回り出す。目的地は鰻料理店なのか、屋根の上で意味もなく鰻がくねくねと動いている様子がキュートだ。

 3Dフローティングビジョンは、液晶パネルの前に特殊なレンズアレイを置き、前方に立体映像を結像させる技術。目に優しく、また動画を3D表示できる点も特徴。ただ、カーナビに応用した場合は、“運転中なのに3D映像に目を奪わてしまう”危険性もはらんでいるため、今のところはあくまでも技術デモンストレーションという位置づけ。製品化のスケジュールは未定だ。

 さて、ブース内で最も注目を集めていたのは、鳥の形をした「車載ロボット」だ。ダッシュボードの上でくるくる回ったり、羽根を動かして感情を表現したりする様子がユニーク。名称や開発コードネームは与えられていないが、社内的にはロボットを縮めて「ROB」と呼ばれているらしい。

photophoto 鳥の形をした「車載ロボット」(左)。信号をチェックして、青信号になっても車が動き出さないと警告してくれる(右)

 もちろん、単に愛嬌を振りまくだけのロボットではない。くちばしの部分にCCDを備え、運転手の顔を認識したり、気に入った風景を勝手に撮影したりする。また、内蔵の加速度センサーを利用してドライバーの運転を評価。たとえば、車の運転があらいと羽根を広げ、目を赤くして怒り出し、赤信号が青に変わっても車が動き出さないと音や光で教えてくれる……などなど、実にさまざまな機能を持っている。というわけで、詳細記事を別途掲載する予定だ。

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