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KDDI、東電のFTTH事業を統合

» 2006年10月12日 20時03分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 東京電力とKDDIは10月12日、東電の光ネットワーク・カンパニーの事業をKDDIに統合すると発表した。両社は2005年10月“NTT対抗軸”を謳い通信事業における包括提携に合意しており、今年1月にはパワードコムをKDDIに統合済み。今回の合意も昨年の包括提携に基づくものだ。

photo 東電の勝俣恒久社長

 東電は、光ネットワーク・カンパニーに係る事業をグループから分割。来年1月1日付けでKDDIに譲渡し、光ネットワーク・カンパニーの社員はKDDIに出向する形をとる。KDDIは、東電に対して14万4569株の普通株式を割り当てる。また、2007年1月1日をメドに合弁会社を設立し、総延長14万キロに及ぶ光ファイバーの敷設・保守を委託する計画だ。

 今回の合意により、現在の「TEPCOひかり」サービスはKDDが引き継ぐことになった。東電の勝俣恒久社長は「KDDIの土俵の上で(FTTHは)大きく進展する。2400万ユーザーを抱える携帯電話やPLCと連携し、便利で快適なサービスを提供できるだろう」と話す。

 また、KDDIの小野寺正社長は「近い将来、新規加入に関してはG-PONベースの“ひかりone”に一本化したい」とする一方、既存の100Mbps専有サービスユーザーに対しては引き続きサービスを提供していく方針を示した。「将来の方向性は今後の検討課題だが、既存サービスについては責任を持って提供する」(小野寺氏)。

photo KDDIの小野寺正社長

 質疑応答で改めて事業統合の意味を訊ねられたKDDIの小野寺氏は、NTT地域会社「たとえばG-PONの場合、ネットワークをどう構築するか、という判断をNTTに依存することになる。自前のFTTH網を持てば、地域の需要に応じて拡大するといった自由度が増し、品質も保証できる」と話した。「(ダークファイバーに比べて)コストが下がるのはもちろんだが、ダークファイバー接続料金という不安定要素を排除できる点は大きい」(小野寺氏)。

 なお、今後のサービス展開については、「通信と電気事業を融合した利便性の高い情報通信サービス」とするに止め、具体的なスケジュールなどは明らかにされなかった。「ホームセキュリティ、家電制御、省エネコントロール、(電気料金の)検針など、通信と電気を合わせて使えないか、検討していきたい」(小野寺氏)。

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