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一緒にドライブしたいロボット(1/2 ページ)

» 2006年10月12日 21時44分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 先週、幕張メッセで開催された「CEATC JAPAN 2006」は、10月3日から7日までの5日間で19万4267人の来場者を集めた。目標としていた20万人には及ばなかったものの、開催期間のほとんどが悪天候にたたられたことを考えれば健闘したといえる。

 CEATEC JAPANは、米国のCESや欧州のIFAと並ぶ“世界3大IT展示会”の1つだ。年末商戦向けの民生機器の新製品が初めて一般に公開されるとともに、新しい技術を一般に披露して、その市場性を探るという色合いも濃い。なかなかビジネスに結びつかない民生用ロボットの分野も例外ではなく、各ブースに注目が集まる一方、取材中に苦労話を聞くことも少なくない。

photo 富士通の「enon」(エノン)。イオン系の商業施設で道案内を行うなど、一足先に社会に出た“実用ロボットの先駆け”的存在。ただし、予想通り店頭では“子ども達の容赦ない攻撃”(子どもは遊んでいるつもり)に遭っているらしい。表情も変えずにけなげに働くその姿は涙を誘う。なお富士通では、実際の運用を通じて、子ども達の“攻撃パターン”を解析し、子どもが足をかけやすい箇所の耐久性アップなど改善に役立てている
photo 一番人気のムラタセイサク君は、同社の技術力をアピールするマスコット的な存在として開発されたため販売予定はなし。もちろん「お値段:くるま一台分くらい」という状況ではさすがに売れないが、その広告効果は実証済み。同社には、初代ムラタセイサク君のCMを見て入社した技術者もいるそうだ(参考文献『ムラタセイサク君の科学』)。トヨタやホンダの例もそうだが、ロボットが企業のイメージリーダーであることを実感させる
photo ハイテク機器と人間の仲立ちをするインタフェースになることを目指した東芝「ApriAlpha」。2003年の発表時には数年以内に市販するとしていたが、今のところ事業化のメドが立っておらず、「まだ研究所を出ていない」状況だという。とりあえずブログの更新をがんばってほしい

 そんな中、今年は製品化を強力にプッシュしたいロボットが現れた。初日のブースリポートでも触れたパイオニアの「車載ロボット」――通称“ROB”(ロブ)だ。

photophoto パイオニアの「車載ロボット」。ダッシュボードの上でくるくると左右に回りつつ、羽根をパタパタさせるなど、非常に感情表現が豊か。女性来場者の注目を集めていた

 タマゴ型のROBは、非常に愛嬌のあるロボットだ。ドライバーのみならず、同乗者も楽しませるエンターティナーで、しかも安全運転の監視役という1面も持っている。まずは、改めてROBの機能を挙げてみよう。

  • ドライバーが乗車すると“お出迎え”
  • 車内の盛り上がりに合わせて楽しい動きをする
  • 興味を持った風景の写真を撮る
  • 車内が盛り上がっていると写真を撮る
  • 運転が丁寧ならハネをパタパタさせて喜び、荒いと怒り出す
  • ヒヤリとした場面ではドライバーと一緒に怖がる
  • 青信号になっても車が動き出さないと警告する
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