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myloの死角LifeStyle Weekly Access Top10

» 2006年10月23日 20時13分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 トップの記事はソニーから発表されたノイズキャンセル機能付きウォークマンのニュース記事。“赤nano”を抑えて見事トップに輝いた。ただ、1位と3位が新ウォークマン関連、2位と4位が赤nano関連と見事にサンドイッチ状態。iPodとウォークマン、いずれにも高い関心が寄せられているのがよく分かる。

 ところで、個人的に興味深く感じたのがソニーの「mylo」(関連記事)だ。このmylo、Skypeも使えるし、テキストメッセージングもできる、音楽/ビデオの再生もできるしと、ひと言で言い表すのが難しいデバイスだが、ここは素直に「“IM+音楽”のコミュニケーションツール」と表現するのが適切なように感じる。

photo 「mylo」。画面はメインメニューだが、一番上に「What's Up」(IM登録メンバーの状態表示/確認)が来るあたりコミュニケーションツールであることを表しているともいえる

 備える機能をこまごま書き出していくと(関連記事)W-ZERO3のようなPDA/スマートフォンをイメージしてしまうが、メールソフトやスケジューラーは搭載していないし、もちろんワードやエクセルなどのドキュメントビューワも非搭載。Wnnベースの日本語入力システムも備えているが、徹底的にコミュニケーションツールとしてデザインされているのだ。

 アメリカでは9月よりすでに販売されており、「大学生を中心に結構な人気」(同社)とのことだが、日本ではどのように受け止められるだろうか。

 宅内無線LAN機器の普及もあって、無線LANを利用したサービス(ニンテンドーDSのWi-Fiコネクションなど)もさほど違和感なく受けいられていることから、「無線LANインフラが前提のコミュニケーションツール」という新機軸そのものは受け入れられる余地があると考えられるが、致命的な弱点になりそうなポイントも散見される。

 日本で最も身近なコミュニケーションツールである携帯電話にほぼ標準搭載されているカメラ機能の非搭載もそのひとつだが、もっとも大きな弱点は「ソフトのダウンロードができない」ことと筆者は考える。

 myloはLinixベースのOSを採用するが、ダウンロードは行えず、インターネットを経由してのコンテンツ追加(楽曲ダウンロードなど)はもちろん、ソフトのアップデート/追加も不可能だ。

photo mylo同士をAd hoc接続することもできる

 コンテンツの追加はメモリースティックないしUSBケーブルで本体メモリへ転送するスタイルであり、将来的な機能強化はソニーから提供されるアップデータで行われる。スタイルとしてはPSPに近いといえる。

 米国での発表時に、ジャーナリストの神尾氏は「携帯IM端末としての可能性を感じる」とコラムに記しているが、IMはつながってこそのIM。国内で販売されるmyloにはお世辞にも利用者が多いとは思えないIMソフトしか用意されていない(米国版にはGoogle Talk、Skype、Yahoo! Messengerがインストールされていたが、日本版はSkypeとGoogleTalk)。

 自分が普段利用しているYahoo MessengerやWindows Live Messengerを使いたくても、ソフトのインストールはできない。これは“つながる”ことへ大きなマイナスにならないだろうか。将来的にアップデータで他のIMサービスとの互換性は保証されるかも知れないが、それはあくまで可能性の問題だ。

 コミュニケーションに機能を割り切ったmyloのコンセプトは非常に興味深い。成功するだけの環境もいまの日本市場には存在するだろう。ただ、現時点では“つながる”ことにmylo自身が若干の不安をかかえている。価格やコンセプトよりも、その不安がmyloの死角だ。

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