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わずか54グラムの「空中マウス」が変える出張プレゼンの世界プロフェッサー JOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと!」(3/3 ページ)

» 2006年10月26日 14時47分 公開
[竹村譲,ITmedia]
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 実際の「出張プレゼンテーション」では、予め用意したプレゼンテーションファイルを受信ユニット付属の内蔵USBメモリに記録し、PC上でDドライブやEドライブ等として認識されたドライブから、リモートコントロールユニットをマウスのように空中で操作して、目的のプレゼンテーションファイルを呼び出して実行するだけだ。

リモコンユニットは、腕を大きく動かすのではなく、手首のスナップだけで制御する。慣れるまでは少し時間が必要だが、慣れると一般的な3次元マウスやレーザーポインターより扱いやすくポインティングも正確だ。

 この快適な「空中マウス」機能を実現しているのは、イノテック社が販売しているGyration社の「MicroJyro MG1101」という振動を感知する方式の「超小型ジャイロスコープ」だ。

空中マウスの機能を実現しているGyration社のマイクロ・ジャイロスコープ

 空中マウスは、USBメモリ内にプリロードされた専用ユーティリティ「Gyro Tools」を導入することで、「他人の褌(ふんどし)」ではない自分のモバイルPCなら、よりジャイロスコープの機能を拡張して各種のWindowsアプリケーションを効果的に活用できる。

付属のユーティリティを導入、活用すれば、各種のWindowsアプリのショートカットを空中マウスのジェスチャーで実現できる。筆者はPowerPointの画面送りや戻しの操作を行っている

 シンプルなところでは、PowerPointの一般的な操作や、IEによるWebサーフィンなどを「空中マウス」にカスタマイズしたジェスチャーで操作可能だ。プレゼンテーションに特化するなら、スポットライト機能で目的の文字やエリアをフォーカスしたり、カウントダウン・タイマーの表示、拡大鏡の使用、変わったところでは、自分で自由に設定可能な「サブミナル・メッセージ」の表示などが可能なパワフルユーティリティだ。

 1キロ超のモバイルPCによるプレゼンテーション、約500グラムのケータイ・プレゼンテーション、約50グラムの空中マウス・プレゼンテーション――どうせPCを持って行くビジネスプレゼンテーション出張なら選択の必要のないパーソナルなソリューションだが、もし「手ぶらプレゼンテーション」を目指すなら、TPOに応じて、ベストフィットなモノを選択できる環境がそろい始めてきていることだけは確かなようだ。

筆者の最近のプレゼンテーション道具は、超軽量のデザインコンシャスな電話であるWILLCOM社の「TinyTalk」、名刺ケース、マルチスタイラスペン、それと「空気マウス」の4点ですべてが完結する

 筆者は、既に「他人のふんどし利用の手ぶらプレゼン」を2回ほど行ったが、その効果と説得力は絶大である。インターネット以前、筆者がモバイルPCの商品企画をやっていた頃、何処でもオフィスの「バーチャルオフィス・コンピューティング」という概念を提案したが、当時も今も、究極のバーチャルオフィス・コンピューティングは、何も持たないことであることは同じだ。

商品:Air Mouse PRESENTER

価格:199ドル(アナハイム Fry's)

竹村譲氏は、日本アイ・ビー・エム在籍中は、DOS/V生みの親として知られるほか、超大型汎用コンピュータからThinkPadに至る商品企画や販売戦略を担当。今は亡き「秋葉原・カレーの東洋」のホットスポット化など数々の珍企画でも話題を呼んだ。自らモバイルワーキングを実践する“ロードウォーリア”であり、「ゼロ・ハリ」のペンネームで、数多くの著作がある。2004年、日本IBMを早期退職し、国立大学の芸術系学部の教授となる。2005年3月、より幅広い活動を目指し、教授職を辞任。現在、国立 富山大学芸術文化学部 非常勤講師。専門は「ブランド・マネジメント」や「デザイン・コミュニケーション」。また同時に、IT企業の広報、マーケティング顧問などを務める。

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