10月12日、ソニーから新型ウォークマン2シリーズ5製品とHDDコンポ「ネットジューク」の新モデル3製品が発表された(関連記事1)、(関連記事2)。
ノイズキャンセリング機能の搭載などもあり、ウォークマンの新製品「NW-F700シリーズ」に注目が集まっているようだが、発表会の席上で同社は新製品群に「もっと、音楽をひとつに。」のキャッチフレーズを冠しており、根底にはひとつの共通コンセプトが潜んでいることをうかがわせる。
両製品の企画担当者へ新製品のコンセプトと狙いを聞くと同時に、ウォークマンの設計担当者にも登場願い、そのコンセプトを実現するための技術の詳細についても尋ねた。
――新しいウォークマンとネットジュークは共通の「もっと、音楽をひとつに。」というキャッチフレーズを伴ってお披露目されましたが、コンセプトを共有するところから両製品の企画はスタートしたのでしょうか?
伊藤氏: デジタルオーディオプレーヤーも普及時期に入り、わたしたちとしても次の“何か”を提案する段階にあると感じていました。そこで1つの軸に据えたコンセプトが「PCレスの提案」です。
これまでも行ってきた提案ですが、ウォークマンとネットジュークを連携させることで「音楽を(ネットジュークへ)ためて、(ウォークマンで)持ち出す」という機能を強化していこうと考えました。その上で“ソニーならでは”として何ができるかを、各製品へ機能として実装することにしました。
――製品発表時には「目指したのは史上最も高音質なウォークマン」というコメントもありましたが、音質面でのコンセンサスはあったのでしょうか。
伊藤氏: 音質面での基本は「Back To Basic」です。よりよい音で感動してもらいたいという想いがすべての根底に存在します。先ほど述べたPCレスという提案も“よい音での感動”があってのことですからね。
瓜谷氏: ジュークボックスとしてのPCを否定する考えはありませんが、やはり室内では大音量でいい音を楽しんで欲しいというのが、わたしの願いです。そのためにS-Master(デジタルアンプ)やソフトドームツィーター装備ですし、大容量のHDDを搭載したのも高音質な非圧縮の音を楽しんでもらうためです
伊藤氏: 非圧縮のリニアPCMは新しいウォークマンとネットジュークのいずれでもサポートされています。非圧縮で音楽を楽しむのはまたマイナーな楽しみ方かも知れませんが、“高音質”を体感してもらうために有効なひとつのアプローチだと思います。
――ここからはウォークマンとネットジューク、それぞれについてうかがっていきたいと思います。まずは新ウォークマンの“ソニーならでは”とは何でしょうか。
伊藤氏: ポータブルプレーヤーの普及とシンクロするように、市場では以前に比べて、比較的高価なヘッドフォンが売れゆきを伸ばしていることは私たちも把握していました。これは外出先で使うポータブルプレーヤーだとしても、もっといい音で聴きたいという要求の表れですよね。
そこで、「外出先でもいい音で聴けるポータブルプレーヤー」を目指したのが新しいウォークマンです。
――NC機能の搭載はそれが目的だったのではなく、「外出先でいい音」を目指した結果だったと?
伊藤氏: NC機能については、2つの要因がウォークマンへの搭載を決定づけました。ひとつはいま述べた“外出先でもいい音”を求める市場の要求、もうひとつは技術の進歩です。
アクティブなNC機能は、音に電気的な信号処理を加えます。ソニーでは1995年からNCヘッドフォンを商品化していますが(注:業務向けの製品化は1992年より行われている)、音質を一定以上に保ったままで周囲の騒音を抑制するには、さらなる技術の進歩が必要だったのです。
実を言えば、わたしたちはウォークマンへNC機能を搭載するタイミングをずっと計っていました。ウォークマンというマスを狙う製品へ搭載する以上は、その効果は誰でも体感できるものでなくてはなりませんでしたし、音質の変化も最小限にしなくてはなりません。そこまでNC技術の熟成が進んだと判断できたからこそ、新製品に搭載したのです。
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