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盛りだくさんの機能を使いこなせるか――ペンタックス「K10D」レビュー(1/6 ページ)

» 2006年11月20日 11時44分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 ペンタックス「K10D」は、1020万画素CCDを搭載した多機能なデジタル一眼レフ機だ。今年7月に発売した「K100D」で実現したCCDシフト式の手ブレ補正機構「SR」を強化しつつ、新たに自動ゴミ除去機構「DR」や新エンジン「PRIME」を搭載し、さらにボディの防塵防滴化やAFなどの性能アップを図っている。

 K100Dはビギナーにも扱いやすい製品だったが、今回のK10Dはエントリー層よりもやや上のクラス、主に写真愛好家層をターゲットにしている。そのため、ボディは一回り大きく重くなり、ボタンやダイヤルの数が増えた。ビギナーが手軽に撮るための「ピクチャーモード」が省かれ、かわりに絞りやシャッター速度、感度を自在に操って撮れる撮影機能が充実した。カスタム設定が豊富になり、自分の撮影スタイルに応じて操作性を変更しやすくなったことも見逃せない。

photo 「K10D」に広角ズーム「DA 16-45mmF4ED AL」を装着
photo 新発売の中望遠レンズ「DA 70mmF2.4Limited」を装着
photo 各所にシーリングを施した防塵防滴構造のボディ
photo 背面のボタンを押し、表示パネルのバックライトを点灯した状態。外装はこれまでと同じエンジニアリングプラスチックで、シャシーにステンレスを採用
photo モードダイヤルでは10種類の撮影モードを選べる。中でも注目は、感度優先AE(Sv)モードとシャッター速度&絞り優先AE(TAv)モードの2つだ

感度優先で撮れる新しい露出モード

 K10Dでいちばん興味深いのは、2つの新しい露出モードだ。従来の一眼レフ機と同じ、プログラムAE(P)、シャッター優先AE(Tv)、絞り優先AE(Av)、マニュアル(M)の4モードに加え、感度優先AE(Sv)とシャッター速度&絞り優先AE(TAv)の2モードを新搭載した。

 感度優先モードとは、ユーザー側でISO感度を設定すると、カメラが最適と判断した絞り値とシャッター速度に自動的に決められるモードのこと。これまでにない概念というわけではない。従来のデジカメでも、通常のプログラムモードなら、感度を自分で決めると絞りとシャッターが自動的に決まる。何でもない当たり前のことだ。

 ただK10Dが新しいのは、この操作をプログラムモードとは別のモードとして独立させ、グリップ部にある電子ダイヤルで、感度をダイレクトに切り替えられるようにしたこと。つまり、撮影中にシャッター速度や絞り値を調整することと同じ感覚で、感度を直感的に変更できる。仮に結果として撮れた写真が、プログラムモードで撮ったものと同じだったとしても、撮影の流れの中でいちいちボタンを押したり、液晶を見たりせず、ファインダーから目を離さず、即座に感度を変更できることが何より大きなポイントといえる。

 どんなときに役立つか。ひとつの例として、人物などの動きのある被写体を、ストロボを使わずに薄暗い場所でスナップ撮影するシチュエーションを想定してみよう。なるべく手ブレや被写体ブレを防ぐには、感度を高くしてシャッター速度を速くするのがいい。しかし高感度にするほど、画質が劣化するデジカメ共通の悩みもある。そこでふだんの撮影なら、ブレ防止と画質を天秤にかけた妥協点の感度で撮ることになるだろう。

 だがK10Dの感度優先モードなら、1枚目は高感度で撮り、すぐに感度を変えて2枚目は低感度を撮る、といった使い方がスピーディに行える。例えば、人物の動きが少なくなった瞬間は、被写体ブレの確率が減るし、ズームレンズの焦点距離によっても手ブレの生じやすさが違ってくるだろう。そんな状況を逐一判断しながら、てきぱきと感度を使い分けられるのだ。また、意図的にブレを表現したカットとブレのない静止したカットの両方を、一連の流れで撮影したりもできる。

 屋内と屋外を出入りしながら撮る場合など、シーンの光量が変化するシチュエーションでも便利だろう。これまでのプログラムモードに代えて、手軽なスナップ撮影の常用モードとして、感度優先モードを使ってもいいと思う。あるいは、同一のシーンをあえて感度を変えながら撮り、ノイズ感や粒状感の異なる画像を得る、といった利用法も考えられる。

photo 感度優先モードでは、設定した感度がボディ上面の表示パネル、およびファインダーの下部に表示される。感度はISO100〜1600の間を1/3EVステップで選べる
photo 感度優先モードでの感度設定は、初期設定では背面の電子ダイヤルで行い、前面の電子ダイヤルには何も機能が割り当てられていない。カスタム設定によって、前面をプログラムシフトにしたり、その逆に設定したりもできる
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