圧倒的なコントラストと精細感が魅力のフルHD機――シャープ「XV-Z21000」(2/2 ページ)

» 2006年11月24日 00時00分 公開
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映画向けによく練り込まれたシネマモード時のガンマカーブ

 視聴はいくつかの映画をシネマ1とシネマ2それぞれ、そしてパラメータを変更しながら行った。

 両者はともに色温度6500度に設定されており、色味に関しても揃えられている。濃度感も(明るさの違いから来る印象の差はあるにせよ)ほぼ同じ設定だ。両モードの大きな違いはシネマ1ではアイリスがミドル、ガンマがシネマ1になっているのに対して、シネマ2はアイリスが高コントラスト、ガンマがシネマ2と設定されている点だ。

photo 照明系と投映系それぞれにアイリスを独立させたデュアル・アイリス機構を光学エンジンに搭載

 従来のシャープ製ハイエンドプロジェクターの場合、高コントラストモードでは光出力がやや弱く、白ピークの伸びが希薄という印象があった。測定上のコントラストがいくら高くとも、白ピークが伸びなければ良好なコントラスト感は得られない。ミドルと高コントラストの中間ぐらいがあれば……と思ったものだが、今回のシネマ2はそのあたりを上手に見せてくれる。

 アイリスを高コントラストにした際には、確かに光出力は相当に絞られるようだが、シネマ2では同時にガンマも変更される。ややこしいが、このときに設定されるガンマモードも「シネマ2」という。このシネマ2ガンマは、暗部階調を広めに見せるため、最暗部の階調が見通しよく見える。この見せ方と連動して中間輝度が持ち上がり、ちょうど映画がよく使う輝度レンジの明るさ感がかなり上がって見えるのだ。

 その分、白ピークの伸びがスポイルされるが、字幕が落ち着いた明るさで見え、またもっとも明るい部分はきちんと輝くように見せる工夫が施されており、絞りが高コントラストモード時でも、光出力が弱いとあまり感じない。

 一方、プリセットをシネマ1にすると絞りはミドル。ガンマは「シネマ1」となる。こちらのガンマカーブは黒を沈めて引き締める、光出力の大きさを活かした絵作りだ。とはいえ、暗部階調の表現は実に繊細に設定されており、投射環境が合わないと黒潰れがひどいと見えるかもしれない。

 120インチ以上の大画面でゲイン1を切る低ゲインスクリーンを使う場合には、プリセットのシネマ1を基礎に、ガンマを「シネマ2」に変更してシャドウ部の見通しを良くするといった設定変更を行うといい。

 こうした高コントラストのプロジェクターでは、黒が沈み過ぎて暗部が潰れたように見える場合もあるが、本機の場合はガンマの「シネマ2」の設定が絶妙。映画館の絵を見ればわかるように、映画の黒は決して“真っ黒”ではないが、このガンマを用いると黒を沈めながらも、映画を自然な階調で見せてくれる。

photo HDMI端子は2系統装備、HDCP対応「DVI-I」端子や2系統のコンポーネント/RGB端子など豊富な入力端子を備える

圧倒的なコントラストと精細感が魅力

 さて、投射される映像の印象だが、投射環境とZ21000のプリセットがはまった時のコントラスト感の高さと黒沈みは圧倒的だ。プリセットのシネマ2を選び、ホワイトマット系のスクリーンに対して100インチ程度に投射する時の画質がベストだろう。

 黒は今までに見たことがないほど沈む。ユニフォミティ(均一性)が高いDLP方式の特性とも相まって、画面全暗時にはスクリーン全体が、それこそ“真っ黒”になる。もちろん、光出力が弱ければ黒くなるのは当然だが、しかし白もきちんと白く見える範囲内での話なのだから、コントラスト性能に関して12000:1というカタログスペックも伊達ではない。

 しかも前述したように、ガンマを「シネマ2」に設定することで、沈み過ぎによって映画が不自然に見えることもない。

photo バックライト搭載リモコンが付属

 次に感じるのが、圧倒的な精細感だ。特にHDMI時、何のシャープネス処理を行っていない状態で、画面の隅々まで滲み感のない実に鮮度の高い絵が映し出される。スクリーン近くまで近寄ってみると、それが画処理で不自然に輪郭を立てた映像ではなく、高いレンズ性能と、パネルズレが原理的にない単板DLP方式の特徴によるものだということがわかる。

 シャープはこの機種のために、従来からのレンズを再設計。1080pに見合う高精細、高コントラストのレンズを搭載したと話していたが、まさにうたい文句そのままの切れ味の鋭さだ。

 こうした第一印象の次に感じるのが、従来のシャープ製プロジェクターとは異なる、穏やかで階調性の良い絵柄である。暗部はニュートラル、高輝度部は若干青みが強めに感じるシャープトーンのグレーバランスはやや緩和され、よりニュートラルに近付いた印象。

 さらに白ピークがキュンと伸びて元気は良いが、やや眩しいハイライト部の描写が良い意味でおとなしくなった。こうしたハイライト部の描写の違いからか、同じ5倍速でもZ2000やZ3000よりもカラーブレーキングは圧倒的に少ない。筆者はカラーブレーキングがよく見える方だが、それでもモノクロ映画以外では色の分離が気になって映像に集中できない、といったことは感じなかった。

 加えて特徴的だった赤色が、より自然に見えるようになった。シャープは超高圧水銀ランプの“赤が弱い”という特性を補完するため、カラーホイールの赤パート時のみランプの電流を上げる制御を行うが、従来よりもこの制御が上手になったのか、それともカラーホイールのフィルタ特性を変更したのか、不自然に赤が強調される傾向が見えなくなっている。

 また、フルHD化や制御LSIが進化したためだろう。特に暗部の階調特性は大幅に向上しており、誤差拡散ノイズが激減している。もちろん、ストップモーションでスクリーンに近付けば誤差拡散のピクセルが動いているのが見えるものの、適切な視聴距離においてそれが見えることはない。

 これまで見たことのない高コントラストと、そのコントラストを活かしたガンマカーブ。それにより自然で安定した絵を見せる絵作りは、長らくDLP方式に取り組んできたシャープ製プロジェクターの中でも、圧倒的にぬきんでた仕上がりだ。

 スペック上の数値としては気になる動作ノイズ(冷却ファンとホイールの回転音)も、音質は低めの周波数が中心であり、電源投入直後はやや気になるものの、映像が始まってしまえばさほど気にならない。本機のレンズが長めの投射距離を必要とすることと考え合わせれば、耳から遠い位置にプロジェクターが配置されるはず。環境にもよるが、この点はさほど気にする必要はない。

 フルHDらしい高精細な映像を求めるならば、まず候補の筆頭に置くべき製品である。

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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年12月31日