先日、ナショナル(松下電器産業)がマッサージチェア「リアルプロ」シリーズの新製品を発表した。発表会場は滋賀県・彦根市にある同社工場。リアルプロシリーズや乗馬フィットネス器具「ジョーバ」シリーズを一手に生産している同社ウェルネス事業部の本拠地である。
そして、工場の一角に「モミモミ歴品館」という、ちょっと怪しげな名前の場所がある。ここには、36年の歴史を持つナショナルマッサージチェアの歴代モデルが陳列されていた。
“モミモミ”の歴史は、1969年の「EP-50」に始まる。1969年といえば、アポロ11号が月面に着陸し、松下とソニーが初の家庭用ビデオ「Umatic」を発表し、日本はGDP世界第2位に躍進した年だ。「ゴルゴ13」の連載が始まった年といえば分かりやすいだろうか?
当初のマッサージチェアは、単純な「揺動もみ」が中心だったが、1970年代に入るとメカ技術が急速に進歩し、偏心斜坂カムを利用した「ねりもみ」や、楕円ギアによる「緩急もみ」が相次いで実用化される。1979年11月に発売した「EP556」では、もみ玉の上下移動も自動化。もみ上げ/もみ下げなどの操作がすべて手元で行えた。現在の廉価なマッサージ機が持つ機能は、この頃すでに完成していたのだ。
1982年発売の「モミモミツボあわせタイプ」(EP560)では、操作機に初めてマイコンを搭載する。また、もみ幅の調節機能を備え、肩や背筋のツボを幅広くほぐせるのが特徴だった。価格は13万5000円。
マッサージチェアは、時代を反映するようだ。バブル期の1985年には、若い女性層を狙ったロッキングチェア風マッサージ機「ロッキンローラー」(EP525)が華々しくデビュー。25度のロッキング角度を持ち、“ゆらゆら”とくつろぎながら4種類のローラーマッサージで疲れを癒すという、画期的な製品だった。ただ、画期的すぎて「あまり売れなかった」(同社)。
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