レンズの操作性もチェックしよう。「Planar T* 85mm F1.4 ZA」は約640グラム、「Sonnar T* 135mm F1.8 ZA」は約995グラムと重い部類のレンズだ。2本とも外装は金属で、ひんやりとした触感がある。剛性感や高級感は申し分ない。
鏡胴部にはフォーカスホールドボタンがあり、これを押している間はAFを解除しピントを固定できる。またα100のカスタムメニューからボタンの役割りをプレビューに変更もできる。AFは、SSM対応ではないため駆動音がややあるが、AFスピードは大きなストレスを感じない程度に速い。2本もオートクラッチ機構を採用し、AF時にフォーカスリングは回転しない。そしてボディ側のスイッチでマニュアルフォーカスに切り替えられる。
ただし、前述したように開放値では被写界深度が極めて浅いため、マニュアルフォーカスでのピント合わせは非常に難しい。α100のファインダー性能はエントリー機として特に劣るとは思わないが、これらのレンズとの組み合わせでは厳密なマニュアルフォーカスは不可能に近い。またレンズ側の問題として、マニュアルのフォーカシングに若干のがたつきがあるのが気になった。
画質に関しては2本ともまったく不満はない。今回の3日間の試用では、それぞれのレンズが持つ“味”のレベルまでは検証できなかったものの、開放値でのピントが合った部分の鋭さと、ボケた部分の滑らかさとの両立には目を見張るものがあった。ボケよりも、シャープ感やコントラストを重視したい場合は、3〜4段程度絞り込むとなおいいだろう。
この高画質とボケ味を得るために、標準ズームの数倍の重さと価格をよしとするのは写真を趣味にするユーザーに限られるかもしれない。だが、小さくて軽く、安くて便利なズームレンズばかりではつまらない。他人とは違った写真を撮りたい人、あるいは背景を美しくぼかし、彼女や彼氏をきれいに撮りたい人、渡して喜ばれるポートレートを目指す人なら、購入する価値はある。現状では、これらのレンズに見合う上級ボディが発売されていないのがネックだが、レンズそのものはこの先もずっと使える資産になる。
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