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“動画解像度の改善”がキーワードとなる今年の液晶テレビ2007 International CES

» 2007年01月08日 18時33分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 毎年、「International CES」は展示会オープンの前日にプレス向け発表会が集中的に開かれるのが慣わしだ。今年のプレスデーは、昨年世界的に大幅伸長した液晶テレビ市場を背景に、液晶タイプを主力とするテレビメーカーの元気がいいが、初日に登場した全ての液晶テレビメーカーが、2007年モデルにおいて液晶パネルの倍速駆動と中間フレーム生成技術を投入するとアナウンスした。

 ブラウン管やプラズマテレビなど、映像を表現する光を瞬間的に点滅させながら映像を表現(インパルス表示)とは異なり、フレーム表示期間中、同じ映像を保持し続ける(ホールド表示という)液晶テレビは、動きによるボケ感が大きいという弱点がある。フルHDの液晶テレビが、ワイドXGAのプラズマテレビよりも、動きの多い映像で解像度が低く見えることがあるのはこのためだ。

photophoto ソニーとシャープが発表した液晶テレビ新製品。いずれも120Hz駆動技術を盛り込んでいる

 数年来、この問題に対して黒挿入による疑似インパルス表示などで動画解像度を改善する試みが行われてきた。その中でももっとも効果的だったのが、昨年、ビクターが製品に組み込んだ中間フレーム生成・倍速駆動技術である。

 黒挿入では時間軸方向で見た場合、トータルの光出力が減ってしまうという問題があった。倍速駆動技術では毎秒60フレームの映像を毎秒120フレームで表示する。そしてその際、フレームとフレームの間に、別のフレームを生成するのである。

 具体的には各画素の周辺画素を検索し、表示されている像の動きを検出。中間の位置に動いていると判断した像を合成する。このため、液晶パネルの倍速駆動が必要なことはもちろん、各画素の画像に対してピクセルごとに周辺画素を評価し、中間フレームを生成する処理を行える高性能な画像プロセッサが必要だ。

 ビクターが昨年、この技術を実用化した際には倍速駆動対応液晶パネルがワイドXGAタイプにしかなかったが、今年はフルHDでも120Hz対応パネルが主流。くわえて画像処理プロセッサの能力が向上したことで、200万画素のフルHDでも中間フレーム生成が可能になった。

 日本のメーカーではシャープ、ソニー、東芝などが初日この発表を行ったが、中でも東芝は詳細に動画解像度改善の技術解説を行っており、その仕上がりに自信を見せていた。

photo REGZAの「ClearFrame」技術

 この方式は動きの検出と中間フレーム生成の精度が、その性能を決する。たとえば動き検出で参照する周辺画素の範囲が広いほど、動きボケ改善が可能な対象が拡がるが、そのためには画像処理プロセッサの高速化が必要になる。

 単に動きボケ対応機能があるかないかだけではなく、どの程度の改善があるのか。あるいは中間フレーム生成でおかしな動きが出てこないかといった、新しい切り口の製品評価が必要となってくるだろう。

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