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“プラズマを超えるプラズマ”を披露したパイオニア――“世代違い”の新画質2007 International CES(1/2 ページ)

» 2007年01月15日 13時07分 公開
[本田雅一,ITmedia]
photo CESのパイオニアブース

 パイオニアは、昨年の「CEATEC JAPAN 2006」で参考展示した次世代PDPを、北米では今年夏に投入すると発表したが、そのデモンストレーションがCES期間中を通して大変に好評だった。ソニーの有機ELディスプレイの影に隠れた感があるが、コントラスト比2万対1以上を実現する“PDP”という概念の枠を超えた新しい画質は期待値以上のものだった。

 パイオニアはPDP事業に関して、他社のようにシェア争いで価格競争を繰り広げるのではなく、新しい技術を連投することで大きく画質を引き延ばし、価格よりも高品質を優先することで独自の地位を築いていく方針へと転換している。

 CEATECでは、「目標は北京オリンピック」と発表されていた次世代PDPの開発も、そうした方針の一環として進められてきたものだ。ところがCESのフタを開けてみると、ほぼ1年前倒しでの米国発表。現地でパイオニア常務執行役員で、PDPパネルの技術開発を指揮してきた佐藤陽一氏は、「同時に欧州でも発表する」と話した。

 パイオニアのPDPは、一昨年に投入した新型パネル以降、画質面で優位を保ってきた。沈んだ黒と発光効率の良さから来る白ピークの伸び、そして素性の良さからくる絵作りの素直さなどは現在でもナンバーワン。WXGA機では階調性を改善した駆動法が、中間色でのノイズっぽさに繋がっている面はあったが、それもフルHDの「PDP-5000EX」では画素が細かくなったことで、大幅に改善されている。

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 こうした優位性をパイオニアが保っているのは、「高純度クリスタル層」と名付けられた、新発見の素材を用いたレイヤをパネルに配しているためだ。ここに使われている材料の発見が、パイオニアの最大の優位性になっている。

 佐藤氏によると、実はこの高純度クリスタル層が、次世代PDP開発の鍵になっているという。この素材を用いると電子の放出速度が二桁アップし、それによって“種火”を小さくできたのが、これまでのパイオニア製パネルの高コントラストを引き出していた。

 しかし次世代ではさらに一歩踏み込み、高純度クリスタル層の特殊な振る舞いや特性(インタビューでは話を伺ったが、具体的な話はここでは控える)を活かして、根本的な構造改革を図った。そもそもの画素書き込みなどドライブ部分から見直した新設計となる。

 しかも、新しいプロセスの開発が進み製造面での安定性が増してくれば「歩留まりには影響しない大幅改良」(佐藤氏)とのことで、同じく圧倒的なコントラスト比を持つSEDに対し、コスト面で圧倒的に優位に立てる。

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