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“ソニー対キヤノン”の軍配は? HDVカメラの最新2機種を比較する(前編)HDVカメラレビュー「HDR-HC7」vs.「iVIS HV20」(1/3 ページ)

» 2007年02月21日 10時44分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 昨年9月に発売されたキヤノンのHDVカメラ「iVIS HV10」は、ほぼソニーの独壇場であったハイビジョン撮影対応家庭用ビデオカメラ市場に大きな影響を与えた。週間売り上げランキングなどでも、競合機種となるソニーのハイビジョン・ハンディカム「HDR-HC3」(2006年3月)といい勝負を繰り広げていたようだ。そして、次なる対決の場は“新入学シーズン”ということで、両社から新製品がリリースされた。

photophoto 「HDR-HC7」(左)とキヤノン「iVIS HV20」(右)

 まずソニーは、「HDR-HC3」の後継機種となる「HDR-HC7」を1月18日に発表し、すでに2月10日から販売開始ずみだ。一方、キヤノンは1月31日に「iVIS HV20」を発表。当初は市場投入時期を2月中旬としていたようだが、現時点では3月上旬発売予定となっている。こちらは「iVIS HV10」の後継ではなく別のラインアップといえ、タテ型ボディを継承せずに「HDR-HC7」と同様の、家庭用ビデオカメラではスタンダードなフォルムを採用した。これまで以上に競合要素の度合いは増したといえるだろう。

 さて、通常であれば各製品ごとにレビューを行うのだが、今回はたまたま製品貸出期間が数日ばかり重なり、また、今後の家庭用HDVカメラ市場を牽引すべきライバル機種どうしということで、“対決レビュー”のかたちにしてみた。撮影画質の比較はもちろん、使い勝手の面なども含めて、両者の違いを検証していきたい。

新しい拡張色空間に対応し、“鮮やか”に撮影可能な「HDR-HC7」

 ソニーの「HDR-HC7」は、従来モデルのコンパクト路線を引き継いでおり、本体サイズは幅82×高さ82×奥行き138ミリとほぼ変わらない。ただ、本体質量は約550グラムと50グラム程度増しており、付属バッテリを使用した際の撮影時総重量は約650グラムとなる。

photo ソニー「HDR-HC7」

 また、本体デザインは大きく変更された。「HDR-HC3」では光学系を含む円筒形の中心部に、液晶モニタとデッキ部をくっつけたスタイルだったが、今回は全体の一体感を重視したようで、よりシンプルなデザインへと洗練されている。ただ、従来のほうが見た目にスリムな感じだったのもたしかだろう。

 コンパクトなサイズであり、しかも、無駄な凹凸などがない分、バッグなどへの出し入れがスムーズに行え、さらにレンズカバーは内蔵式で、持ち運びの際に便利な点は従来と同じ。ただ、ビューファインダーは見た目こそ、「HDR-HC3」と同様に本体と一体化されているものの、今回は引き出し可能な機構となっている。ここは少し使いづらい印象だったので改善は素直に喜ぶべきだろう。しかし、ビューファインダーの解像度は12.3万画素と、液晶モニター(21.1万画素)よりも落ちる点はそのまま。ちょっと惜しい感じだ。

 機能面では、x.v.Colorへの対応が話題の中心となるに違いない。動画用広色域色空間の国際規格「xvYCC」に準拠したもので、既存の国際標準規格「sRGB」では記録できなかった色域も映像として残せるという。ただし、x.v.Colorで記録された映像をテレビなどで表示するには、入力側機器も同規格に対応していなければならない。具体的には、現時点ではソニーの液晶テレビ「ブラビアX2500」と組み合わせた場合のみ、その本領が発揮されることになる。

 また、これ以外にも改良部分は多い。まず、撮像素子にクリアビッドCMOSを採用した点は変わらないが、記録画素数が大幅に向上している(サイズは1/3型から1/2.9型へとやや大型化)。総画素数は320万画素で、16:9映像撮影時の有効画素数は動画・静止画とも228万画素と、「HDR-HC3」と比較するとおよそ1.5倍だ。

 さらにうれしいのは、手ブレ補正機能の方式だろう。電子式(アクティブイメージエリア方式)ではなく、光学式(アクティブレンズ方式)になっている。撮像素子の解像度アップと合わせて、画質向上を大いに期待させる仕様変更だ。このあたりは、コンパクトサイズながら光学式手ブレ補正搭載で登場してきた「iVIS HV10」を、大いに意識した結果といえるかもしれない。

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