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れこめんどDVD:「地獄の変異(Blu-ray Disc)」DVDレビュー(1/2 ページ)

» 2007年02月23日 08時57分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

 新たに発見された地下水脈を探検する隊員たちに想像を絶する恐怖が襲いかかる! 都内では単館公開に終わったB級ホラーが何と高画質・高音質のBlu-ray Discで登場! 不本意な興行に終わった劇場での雪辱を晴らすべく、地獄の底から復活してきたこの映画は、ブルーレイでどのような体験をさせてくれるのか? 超高画質で見るB級ホラーの世界をとことん楽しんでみた!

「地獄の変異(Blu-ray Disc)」

発売日:2007年2月21日
価格:4980円
発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
上映時間: 97分(本編)
製作年度:200年
画面サイズ:シネマスコープサイズ・スクイーズ
音声(1):リニアPCM/5.1chサラウンド/英語
音声(2):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語
音声(3):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語
音声(4):音声解説

 「地獄の変異」とは何とも強烈なタイトルだ。オリジナルタイトルは「THE CAVE」。つまり“洞穴”という意味だが、そのままでは日本ではあまりにも味気ない。このタイトルを良しとする人もいるだろうし、とんでもないと憤慨する人もいるだろうが、個人的には大いに推したい題だ。

 内容は至って単純。地質調査をしていた科学者たちが広大な地下水脈を発見し、詳細な調査をプロの洞穴ダイバーに依頼!そんな職業あるのか?とも思ってしまうが、現場にやってきた彼らは万全の装備で調査を開始。

 しかし、そこには幾多の現場を乗り越えてきた彼らでさえも思いも寄らない生き物が生息していたのだ。隊員たちは果たして生きて洞穴を脱出できるのか?といった内容なのだが、ちょっとした映画ファンであればこのコーナーで以前紹介した「ディセント」と酷似していることに気付いただろう。だが日本での公開は順序が入れ替わってしまったが、実は本作の方が製作も公開も先。

 同じ洞穴を舞台にしたホラーがほぼ同時に製作されたことは昔、「アビス」の公開時期に「ザ・デプス」と「リバイアサン」という海洋ホラーが生まれたことを思い起こさせ、長年のホラーファンならニヤリとするところだろう。

パクッてなんぼ。その潔さが◎

 ぶっちゃけて言ってしまうと、映画的感性と出来の良さは「ディセント」の方が完全に上回っている。だが、この「地獄の変異」の良さは他の数多の映画のパクリを恥ずかしがることもなく、堂々とやってのけているところにあるのだ。

 過剰とも言えるサービス精神は活動屋の鏡とも言えなくはないだろうか。そもそもジャケットからして「トレマーズ」のパクリだ。その辺を分かって見れば、この映画を楽しむことは充分楽しんで、お釣りも来るぐらいに感じられるはずだ。

 監督は傑作SF「ダークシティ」や「マトリックス」シリーズで第2班、第3班の監督を務めてきたブルース・ハント。本作は彼にとって処女作であるが、余計な気負いも感じられず、純粋に観客を楽しませようとしているのが伝わってくるところが素晴らしい。

 出演している俳優に有名スターは1人もいない。だが「GOAL!」や「ブラザーズ・グリム」のような作品に出演していた役者がそろっているので、マメな映画ファンであれば「ああ、この人ね」と気づくかもしれない。ジャケットにはどう見ても脇役の女優が最初に名前を載せているのが可笑しい。もしかして声優のランクで並んでいるのかと勘ぐってしまったほどだ。

 因みに本作の東京都内での劇場公開は銀座シネパトス。この手のB級映画のメッカでもある。かつては“銀座地球座”“銀座名画座”というピンク映画館だったが、現在では一般作を上映する劇場になっている。だが周辺にはアダルトグッズショップやいかがわしい雰囲気が残っており、シネコンばやりの昨今において、貴重な劇場として多くのマニア(といってもその数は限られているが)に愛されている老舗の映画館だ。正にこの映画を上映するにはうってつけの劇場だったと言えよう。

パワフルな重低音、深夜のボリュームにはご注意を

 さて肝心のディスクの視聴だが、プレイステーション3からヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」にHDMIで出力し、リニアPCM音声もチェックしつつ、42インチのプラズマと、液晶プロジェクターによる80インチのスクリーン再生で行った。

 冒頭は現代から30年前のルーマニア。山道を行く軍用トラックがマイケル・マン監督の傑作ホラー「ザ・キープ」を思わせる。トラックに乗っている男たちは山中にある教会の宝探しに来たのだが、崖崩れが起きてしまい、教会の地下にあった洞穴に生き埋めになってしまう。この場面の重低音は異常とも思えるほどパワフルなので、深夜の視聴時にはボリュームに注意してもらいたい。

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