春の新入学シーズンを控えてビデオカメラの新製品の登場が相次ぐ中、ひときわ注目を集めているのがソニーのハンディカムだ。各社の製品でハイビジョン化が進むなか、同社の「HDR-UX7/UX5」と「HDR-HC7」は、初めて広色域色空間の国際規格「xvYCC」をサポートしている。同社はxvYCCに「x.v.Color」の呼称とロゴを与え、業界の統一呼称として提案する。
目で見たままの“本来の色”が出せるというx.v.Colorだが、実際の映像は今までとどう違うのか。またソニーは、x.v.Colorをどう推進しようとしているのか。ソニー、デジタルイメージング事業本部パーソナル事業部設計2部の吉川孝雄統括部長、そしてxvYCCの規格化に深くかかわったデジタルイメージング事業本部システム技術部門カメラ部1グループの加藤直哉マネージャーに話を聞いた。
――まずは復習を兼ねて「x.v.Color」による色域拡大が、実際の映像にどう影響するのか、教えてください。
吉川氏:それでは映像を見てみましょう。これは1月の「2007 International CES」でも展示したものですが、x.v.Color対応の新製品「HDR-UX7」を使って実際に撮影しました。
加藤氏:x.v.Color対応の方が従来のものよりも、青や緑が濃くなっています。というより、“深みのある色”が出せるようになりました。また、ボールなどの映像では、今までツブれていたグラデーションが出ています。
ボールの表面には、明るい青(明るい部分)から暗い青(暗い部分)までありますが、今までは色域外の色はツブれてベタってしまった。ところが、グラデーションが正しく表示されると、ボールに、より立体感が出ます。これが実際のメリットの1つだと思っています。
――x.v.Colorは、自然界に存在し、人間の目が認識できるほとんどの“物体色”をカバーできる色空間を定義したそうですが、製品レベルでも同じことが言えるのでしょうか?
加藤氏:そうですね。人間の視覚で捉えられる範囲はできるだけ忠実に再現することを目指しました。もちろん、光学的な要素などで多少の誤差は出ますから、実際にできあがった製品が物体色を100%カバーしたと言い切ることはしません。しかし、従来の製品に比べるとかなり忠実で、十分に人間の視覚を満たせるものができたと思っています。
――逆に、x.v.Colorでも出せない色とは、どんなモノですか?
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