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“奥様”以外も使いたい、スキのない広角ズームデジカメ――「DMC-TZ3」レビュー(1/6 ページ)

» 2007年03月26日 16時18分 公開
[小山安博,ITmedia]

 「奥様カメラ」「きみまろズーム」といった愛称がつけられているパナソニックの“LUMIX”DMC-TZ3(以下、TZ3)。TV CMを見ると中高年をターゲットにしているようで、今までとは異なる購買層に訴求したい考えなのだろうが、もちろん奥様以外にとっても魅力が詰まった製品だ。

 これまでも「お母さん」とか「ママ」をメインターゲットに掲げた製品はいくつかあり、たいていは高倍率ズーム機で、運動会で子供を狙うといったノリが多かった(デジタル一眼レフカメラだと、EOS Kiss Digitalがそういう位置づけだろう)。

 しかし、TZ3はそうした「ママ」よりももうちょっと上の年齢層、いわゆる団塊の世代を狙っている。この年代の女性層への浸透率はさほど高くなく、まだまだ需要が掘り起こせるという意向だと思うが、こうした考え方はいかにも家電の松下らしい。

photo 光学10倍ズームにコンパクトなボディのDMC-TZ3

液晶が大型化、落としにくいボディ

 TZ3の全体的な印象は、前モデルのDMC-TZ1(レビュー)とあまり変わりはない。本体サイズは約105(幅)×59.2(高さ)×36.7(奥行き)ミリ、約232グラムで、微妙にサイズは違うもののほぼ同等と考えていいだろう。

 ちなみに“DMC-TZ2”が抜けているが、このモデル名はTZ3と同時発表された海外モデルに利用されている。TZ3の下位モデルにあたるスペックで、性能を重視しがちな日本と、価格を重視しがちな(主に)米国の市場の違いで生まれたモデルと言っていいだろう。

 デザイン上の最大の違いはレンズだ。TZ1よりもレンズが大型化しており、その分、デザイン全体に占めるレンズの割合が増えている。後述するように、レンズ周りはガラリと一新されており、その影響があるのだろう。

photo レンズは大型化しており、今まで以上に迫力のあるレンズ

 本体背面は一部デザインが変更されている。最大の変更点は、液晶モニタが2.5型20.7万画素の低温ポリシリコンTFT液晶が、3.0型23万画素低温ポリシリコンTFT液晶になったこと。昨年までモニタサイズの主流は2.5型だったが、最近は3.0型が増えてきた。

 ミソは、2.5型の時とほとんどボディサイズを変えずに(むしろわずかに小型化して)3.0型の液晶を搭載した点だ。実際に以前のTZ1と比べてみると、今まで空白だった部分を活用して液晶をギリギリまで詰め込んでいて、この結果3.0型でもサイズを大きくしなくてすんでいる。

 ただ、これに伴い十字ボタンの横に配置されていた2つのボタンが、十字ボタンの下に移った。この変更による影響は特に感じず、3.0型液晶が搭載されていると思えば気にならず、使いづらさもない。

photo 本体サイズをギリギリまで使って搭載された3.0型液晶

 液晶自体は左右の視野角は非常に広く、上下の視野角が狭い、というこれまでと同じ傾向のもの。ハイアングル撮影時は、DISPLAYボタンを長押しして「ハイアングル」にすると、下から見たときに見やすくなるようになるほか、同様にDISPLAYボタン長押しから「パワーLCD」を選択すると輝度が40%アップする。ハイアングルは便利だが、逆にローアングルも欲しいぐらいで、もしくは上下の視野角を広げて欲しいところではある。

photophoto DISPLAYボタン長押しでパワーLCDとハイアングルモードが選択できる。ローアングルもあるとうれしいのだが(左)、3.0型液晶をいかした画面表示。機能アイコンが被写体に重ならないので構図を決めやすい。この表示でも2.5型液晶と同等の表示面積となる(右)

 最近のコンパクトデジカメには珍しく、外装はステンレスのツルツルとしたものではなく、少しざらざらとした手触りで、滑りにくさという点ではかなりいい。最近のスタイリッシュコンパクトデジカメは、うっかりすると簡単に落としそうになるぐらいスベスベしているが、TZ3にはそれがない。そんなところも中高年向けといえなくもないが、決して薄型コンパクトとはいえないTZ3には、落としづらいこの方がいいだろう。

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