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独自の3層撮像素子を採用したデジタル一眼レフ――シグマ「SD14」レビュー(1/5 ページ)

» 2007年05月07日 18時40分 公開
[市原達也,ITmedia]

 シグマが発売したデジタル一眼レフカメラ「SD14」は、前モデルのSD10と同じく「FOVEON X3 ダイレクトイメージセンサー」(以下、FOVEON X3)という特殊な撮像素子を採用している。SD10よりも画素数が向上し(SD10は有効1020万画素)、有効画素数は1406万画素である。

photo SD14に別売りの「17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO」を取り付けたところ。前モデルのSD10よりも洗練されたデザインとなった

 FOVEON X3は一般的なCCDとは仕組みが異なっているのが特徴だ。ベイヤー式と呼ばれる一般的なCCDは、1画素ずつRGBのフィルタが並んでおり、1画素では1つの色しか受光しない。そして周りの素子の情報を組み合わせて画像を生成していく。FOVEON X3では1画素で奥行き方向にBGRの光をすべて受光するため、1画素でフルカラー情報が得られるというメリットがある。さらに仕組み上、ローパスフィルターという画像をぼかすものが不要なため、鮮明が画像が得られるという。3層になっているので、約468万画素×3層=1406万画素という構造だ。

 FOVEON X3とベイヤー式の撮像素子ではどちらがよいかが気になるが、画像生成エンジンの出来などにもよるため、一慨に決めることはできない。FOVEON X3はベイヤー式CCDのどれくらいの解像度と同性能なのかなどが分かりにくかったこともあり、評価も分かれている。JPEGでの撮影で見る限り、1000万画素オーバーのベイヤー式CCDと遜色ない画質である。SD14のJPEG記録では最大約1415万画素で出力できるが、解像度不足と感じることはない。

photo 撮像素子の前にはホコリなどが入らないように「ダストプロテクター」が付いている。内部からのゴミが出た場合を想定し、ダストプロテクターは取り外すことも可能だ

シャッター音が静かに、使い道を広げるJPEG記録

 SD14の機能や操作性、デザインをひと言でいえば「他社のデジタル一眼レフカメラに追いついた」という印象だ。SD10は無骨なデザインで外見も大きく、操作感も他社と比べるとやや劣る印象があった。SD10のボタン類はゴム製が多くクリック感はなかったが、SD14ではボタンにクリック感があり、ファインダーをのぞいたままでも扱えるように操作性が向上している。

photo 操作ボタン類はデジタル一眼レフカメラを使ったことがある人ならマニュアルを読まなくてもだいたい操作可能だろう。操作性も良好だ

 SD10のシャッター音は大きくお世辞にもいいとはいえなかったが、SD14では静かで小気味いい音になった。人によってはもう少しシャッター音が聞こえてもよいかもと思うほどの静かさである。

 バッテリは専用リチウムイオン充電池を使用する。SD10では単三形ニッケル水素充電池4本かCR-V3を2本使用するが、入手性の高いアルカリ乾電池には対応していなかったため、単三形のメリットはあまりなかったといえる。SD14ではリチウムイオン充電池で最大500枚ほど撮影できる。実際に使った場合でも、フラッシュや再生などを多用して200枚以上撮影してもまだバッテリが残っていたので、一般撮影なら十分だといえるだろう。

 機能としてはJPEG記録がサポートされたのが最も大きな変更点である。SD10ではRAW形式のみの記録しかサポートされておらず、手軽に使うというよりはじっくり撮影するという使い方でないと不便さを感じていたが、JPEGのサポートにより幅広いユーザーが気軽に使えるようになった。

photo バッテリは専用リチウムイオン充電池となった。最大500枚の撮影が可能。メモリカードはコンパクトフラッシュかマイクロドライブを使用できる
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